岐阜県 山県市 子育て支援課
(自治体/岐阜県)

市のフォローと後押しで保育園のICT化を加速

登降園管理 保護者連絡 帳票作成 シフト管理 献立管理
事務の効率化 先生の残業削減 手書き業務の削減 先生間のコミュニケーション改善

この事例の要約

・双方向でのコミュニケーションが可能になり、電話連絡の手間を削減
・紙媒体の電子化とペーパーレス化をし、事務作業を削減。園児と接する時間の増加へ
・テンプレートを使用した指導案や日誌の作成を取り入れて業務を省略化し、業務の持ち帰りや残業を削減

休園が続くピンチをICT導入のチャンスに

山県市の子育て施策について教えてください。

久保田さん(以下「久」):山県市は子育て支援日本一を目指して、保育所の無料化を全国に先駆けて導入しました。子育て支援課では市内7カ所の公立保育園、放課後児童クラブの管理、乳幼児健診、母子保健サービスなどの子育て支援を包括的に行なっています。

ICT導入を検討した経緯について教えてください。

久:以前から保育施設の働き方改革については、市で議論が交わされていました。施設のパソコンは台数が少なく職員が利用するのも順番待ち、日誌づくりなどの事務作業に追われて園児と接する時間が少なくなるなど、事務作業の合理化ができていない状態でした。その矢先に新型コロナウィルスの流行により緊急事態宣言が発令され、施設も1ヶ月半近く休園することになりました。しかもこの期間は主に医療従事者の園児の受け入れで通常の2割程度の利用数でした。そこで、職員が時間を取りやすい今だからこそ、ICTを導入してみんなで勉強しましょうと提案しました。こうした逆転の発想から、コロナ禍においては働き方改革のチャンスだと直感しました。

正治さん(以下「正」):業務省力化はもちろんのこと、今回のコロナ禍においては、コドモンを導入することにより、緊急時は施設に来なくても、何かに触れなくても連絡を取ることができることに魅力を感じました。今後新型コロナウイルス感染症第二波や新たな感染症が発生した時も、このような連絡ツールを使って冷静に対応できると思います。

久:施設ではコロナウィルス感染防止対策により、図書の貸し出しを禁止してなるべく紙に触れないようになりました。アプリを使用することでプリント配布を減らしたり、登降園管理および出退勤管理の機能で紙や鉛筆に触れる時間管理簿を廃止できるので、ペーパーレス化の意味でもコドモンは大きく貢献しています。今後ICTを活用し、職員の乳幼児訪問では直接人が接触しない遠隔健診も予定しています。

 

スクラップ&ビルドの意識改革を市が後押し

ICT導入のエピソードがありましたら教えてください。

久:導入にあたっては苦労もたくさんありました。園長先生に集まっていただいた昨年度末のシステムのデモンストレーションではいい評価でしたが、いざ導入となると一人も賛成の手を挙げない状況でした。スクラップ&ビルドにはそれぞれとても勇気のいることですが、岐阜県も山県市も保守的な人が多く、特に保育の現場はその傾向が強いため、長年培ったやり方を変えたくない気持ちが強いと思います。その分、誰かが一歩踏み出していい評判を得ることができれば、他もどんどん後追いするようになる県民性なのですが。今回の導入が、周辺地域の子育て支援事業へのいい流れになるよう、今年8月3日の正式スタート日にはローカル紙などマスコミへ情報を共有していきます。初登園時には山県市長にも立ち会っていただける予定ですので、これを機会に新しい施設の形を広く周知していきたいと思います。

正:リモートでデモンストレーションをしていただいたときは保育士以外の職員も多く参加しましたし、コドモンを触ってみてみなさん熱心でいい印象でした。こんなこともできるんだ!便利!と反応も良かったように思います。しかしその場から離れて、現実の保育環境等に戻ると、急に不安になるようです。コドモンはマニュアルがなくても視覚的に操作できるのでその時の感触は良かったのですが、その反面で固定観念から逆に労務が増えると勘違いしてしまったと推測しています。

そのような状況で、市としてはどのようにして導入を進められたのでしょうか。

正:民間の保育園等でしたら、各々で労務管理や通信手段を考えた上で自主的に提案し実施していくのですが、今回のように全部が公立の施設で長年確立されたやり方で運営をしていると、施設として単一にこれを使いたい、こうしたい、という意見が出にくい状況であったと思います。現状の園児の家庭への連絡手段は一方的な通知になってしまうシステムで、通知後に職員が電話で確認しなければならないなど手間がかかるものですので、双方向でのやりとりが瞬時にできるコドモンには大変魅力を感じていました。紙ベースで長年勤めた職員とデジタル世代の職員ではジェネレーションギャップがあるのは当然のことで、前述のとおりデモンストレーションを見るとどの園長先生も採用に前向きでしたが、実際には導入賛成に手が挙がらないのが現実でした。

このようにICT導入は園長先生だけで判断するのが難しい課題が多くありましたので、保守的な公立保育の現場に対して市側がしっかりとフォローと後押しをすることが必要と考えました。コドモンを導入したら負担が軽減されるのは現場も重々承知しているので、市としては現場に安心してもらえるよう、こうしたフォロー体制をつくることで、背中を押してあげることが重要だと思います。

 

セキュリティ対策も万全 情報担当者との連携がスムーズな導入の鍵に

スピード導入となりましたが、セキュリティ対策についてはいかがですか?

正:本来は検証期間を経て、令和3年度導入予定でしたが、コドモンのシステム導入のスムーズさや多くの導入実績も参考にして、コロナ対策として急遽補正予算化し、年度を繰り上げてのスピード導入になりました。システムやクラウドを導入するにあたっては、セキュリティ面や情報担当者とのやりとりが難航するのが一般的ですので、山県市の場合はコドモンさんが最初にお見えになった時に、私を含め市の情報担当部局職員も同席して関係者間でも情報を共有しました。通信環境、セキュリティを担当する職員が情報を共有することで、その後のスムーズなやりとりが可能になりました。

また、コドモンは市のネット環境を踏まえた最適な設計をしていただけるので、セキュリティ対策に問題はありません。クラウドには様々な情報がアップされますので、現場のセキュリティ対策の強化は引き続き行なっていきたいと思います。

久:担当者が情報に疎いと、説明に行った時に内容が伝わらなく確認作業に時間がかかったり、こういう時どうするんだ?と話を通すのに苦労したりしますが、子育て支援課では、ネットワーク等において常時、相談・意見提起できる関係を築いていますので、市の担当者との情報共有もスムーズにできたのではないかと思います。

 

働き方改革により子どもと接する時間を増やしたい

ICT導入後に期待することについてお伺いします。

正:現在本年8月3日の運用開始に向けて準備を進めていまして、まず初めに登降園管理および出退勤管理から導入したいと考えています。最終的には施設運営に関わるものすべてのICT化を目指していきます。市としてのねらいはまずは業務の省力化ですので、テンプレートを使った指導案作成や日誌の作成も積極的に取り入れていきたいです。今までのような、業務の持ち帰り、時間外業務がなくなり労働時間削減につながることで、園児と接する時間が増えることを期待しています。できるだけ早い習熟を目指して、来年4月にはフルで利用できる状態になっているのが理想です。導入時はQRコードを用いた登降園管理から開始すると思いますが、保護者がスムーズに入ってくれるかが今後の課題ですね。

久:管理栄養士がいますので、将来的にカロリー計算された月間献立配信も行いたいと思います。非接触型の温度計と連携できれば登園時の管理もより便利になり、「ICTを活用した先進的な保育園」としてより確立することも期待しています。便利な機能を組み合わせたプランはどれも施設にとって魅力的なものですので、早い段階で利用できるようになりたいですね。まずは7施設中先行で4施設に導入し、今年度内に残りの3施設も順次導入を考えています。放課後児童クラブもICTの導入を検討していまして、現状は保育園よりもさらにアナログな運営。150人くらいの児童をお預かりしているのですが、一人一人に電話連絡をする必要があり、業務効率の悪さが露呈しています。園児が小学校に入学すると保護者は働き出す方が多いので、送迎に来るのはおじいちゃんおばあちゃんがほとんど。家族への連絡漏れを防ぐためにも、コドモンの活用が有効と考えます。ただし放課後児童クラブは施設や小学校のOBが保育を担当することが多く、施設と比べて職員が高齢なので、あまり難しいシステムを入れると習熟度が上がらない可能性もあります。職員の入れ替えサイクルも早いので、都度システムの講習が必要になり効率的ではなくなりますので、保育園よりもさらにシンプルなシステムが必要でしょう。

正:山県市内には私立の幼稚園が1園あり、子育てひろばなどもあります。保育園だけではなく、すべての施設、保護者が同じシステムを使用できるようになれば、ICT化が実現する新たな流れの中で理想的な子育て環境が生まれると思います。

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