渋谷区 子ども家庭部 保育課 (東京都)
施設種別 自治体・公立施設
成果 保護者からの評判UP先生の残業削減手書き業務の削減電話対応業務の削減施設状況の見える化
この事例の要約
前崎(以下「前」):「渋谷区子ども家庭部保育課」では渋谷区立保育園18園と私立保育園を支援しながら、安心で安全な保育環境を整備しています。渋谷区の人口は約231,000人(令和2年4月現在)で、0歳から5歳児は11,200人と、いずれも毎年微増しています。渋谷区独自の子育て支援制度はマスコミ等各媒体でも多く取り上げていただいています。その反響もあり社会的な転入も含め、子育て世代の転入が多いと推測されています。
中村(以下「中」):ICT導入の理由は大きく3つあり、一つは職員の負担軽減です。以前は連絡帳の作成を手書きしていましたが、施設にはパソコンが2,3台しかない状態でした。職員はかなりの量の事務作業を残業で行なっていて、このアナログ作業を解決できる方法を模索していました。ちょうどその頃、「渋谷区役所」の庁舎が建て替えられるタイミングでICT環境も一新する話があり、施設もICT導入して働き方改革をする流れに。連絡帳や園だよりも電子化して、ペーパーレス化を含め事業展開していくことになりました。
二つ目は保護者の利便性の向上です。紙媒体の場合は主に受け取った保護者しか見ることがありませんが、遠くに住むおじいちゃんおばあちゃんもお孫さんの様子を知りたいという声もありました。今はスマートフォンをお持ちの方がほとんどですので、コドモンのアプリで配信することで場所や時間を気にせず確認が可能で、施設と保護者の連絡体制の向上にもつながりました。
三つ目は施設と保育課の連絡体制の強化です。「渋谷区役所」と施設は同じネットワークを使用しているのですが、より連絡の取りやすい環境を作り細かなサポート体制を構築したいと考えました。
島田(以下「島」):職員は常に園児と接しているので、お昼寝中の時しか事務作業ができません。結局園児が帰る17時以降しか時間がなく残業で業務をこなしますが、パソコンも奪い合いになり作業も非効率で、家に持ち帰って作業することも好ましい状態ではありません。いち早くこう言った状況を改善したいと思いました。
野口(以下「野」):渋谷区は海外出張などお仕事が忙しい家庭も多く、コドモンの連絡機能は喜ばれます。例えば出張で家に戻らなかった1週間に子どもが何をしていたかも分かりますし、家族間でも施設での様子や連絡事項が伝わりにくいことがあります。以前お手紙の配布は、受け取っていない、なくしてしまったなど施設との行き違いがあり読んでくださったかしら?と思うこともありましたが、コドモンのお知らせ配信は既読が付くので安心です。写真を使って配信もできるので、施設での様子を分かりやすく伝えることができています。施設の掲示物はお迎えにきた保護者しか見ることができませんが、コドモンを使えば登録しているご家庭は誰でも手元で見ることができるのでとても便利ですね。
島:前述の庁内外のICT環境一新の流れに乗らなければならなかったため、導入できる期限が決まっていたのが大変でした。役所的な手続きも多く、特に個人情報を扱うので役所の個人情報審議会への申請や外部とインターネット接続することにも申請が必要で、仕事は山ほどありました(笑)。
中:区役所のパソコンはセキュリティが特殊で、アプリのインストールも難解です。コドモンの導入は東京23区としては初でしたので、実績が他自治体にもなくなにもかもが手探り状態でしたが、コドモンの担当者に相談しながら試行錯誤してインストールすることができました。
島:セキュリティ面は普段の業務用と個人情報用、LGWAN、有線とWi-Fiのネットワークが別れているので、それぞれが行ききできない状態で登降園/入退室管理のシステム導入が課題でした。インターネット回線を選択しても、東京都の場合は都のセキュリティクラウドを通じて外部に接続するので安心だったことも理由です。
中:導入開始の1週間前まで調整していましたから、本当に間に合うかな?と思いました(笑)。当時施設にはパソコンが2、3台しかなく、職員のほとんどがパソコンに慣れていませんでしたので……。400-500名の職員が働いていますが、私をはじめ保育課のスタッフが各施設に出向いたり、区役所に集まっていただいたり、パソコンの使い方から研修を重ねていきました。コドモンの担当者様には、渋谷区のネットワーク接続や使用端末などの情報も把握していただき、施設からのコドモンの操作以外の問い合わせにも対応できるようにサポートしていただきました。また、時間外のメール対応や何度も庁舎に足を運んで手作業をしていただくなど、いろいろとお世話になりました。現在は定期的に各施設に巡回指導を行なうなど、アフターフォローも徹底しています。
導入後3か月間は施設からのコドモンやパソコンの使い方に関する質問が増えました。スムーズに導入するために、施設側でパソコンに強い職員を選定し、区役所に集まっていただき使い方を研修しました。その後はICTリーダーとして中軸的な立場になり、施設で初心者の職員に使い方を教える役割をお願いしました。それから1年半経った現在では習熟度も上がり、当時と比べてだいぶ保育課の手も離れてきている状態ですので、効率的にICT化を進めることができていると実感しています。職員も入園面接等の業務をこなしながらコドモンの勉強を頑張ってくれたと思います。
中:コドモンの各機能は大変便利な機能ばかりでしたので一気に導入をしたかったのですが、段階的に導入して現場が混乱しないように少しずつ慣れていただこうと考えました。はじめに登降園/入退室管理と連絡帳、お知らせ配信機能を導入し、3,4ヶ月後には行事予定表を、その数ヶ月後には写真販売を開始しました。
野:保護者は写真をとても楽しみにしていますので、嬉しい機能ですね。写真を撮ってコドモンにアップしておけば閲覧していただけますし、写真販売の機能を使えば希望者は写真をいつでも気軽に購入することができます。施設としては購入者の把握も可能なので、保護者へ買い忘れのないようお声がけもできます。これまでように職員が写真を印刷するやり方ではセキュリティ面の心配もありましたし、保育を抜けてやらなければいけない作業が多く手間も掛かっていたので、負担が減り大変助かっています。
行事や面談の出欠席管理ができるアンケートもよく利用していて、アンケート回答の有無の確認や集計も一覧で見ることができとても便利です。資料室には施設の方針や子どもの持ち物を入れておくと保護者はいつでも確認することができるので、連絡の行き違い防止にもなります。以前は紙の資料が手元になく問い合わせの電話が施設にくることもありましたので……、業務効率が改善されてきていることを実感しています。渋谷区からの連絡も施設からの連絡もコドモンだけで手元で管理できるので、見逃すこともなく気軽でとても良いと思います。
前:4月7日に緊急事態宣言が発令されるギリギリまで国の対応も揺れている中、渋谷区ではコドモンを使って4月6日に保護者に臨時休園を通知し、特別保育はエッセンシャルワーカーと最低限必要な方のみを対象に実施する旨を配信しました。夕方には各メディアから渋谷区に問い合わせがあり一斉休園のニュースが報道されることに。渋谷区のスピード感のある対応は各方面から高く評価を頂き、“渋谷方式”と称されるほどでした。今までは渋谷区からのお知らせは紙媒体で施設を通じて行なっていましたが、コドモンでは直接保護者へ配信することが可能なので、緊急時のスムーズな連絡体制が安心につながりました。
野:休園が2ヶ月間にも及んだので、普段なら休んでいるご家庭との連絡もままなりません。100以上のご家庭に頻繁に電話もできませんし、リモートワーク等で連絡が取りにくいご家庭もあります。既読管理ができるお知らせ配信機能を使用することにより、既読が付かないご家庭にのみピンポイントで電話連絡が可能でした。家での子どもとの過ごし方や折り紙や手作りおもちゃの作り方の配信をして、保育園とご家庭のコミュニケーションツールとしても活躍しました。
野:お知らせ配信で動画配信機能を使ってみたいと思います。例えば誕生日会に出席できない保護者に様子を配信できたら喜ばれると思いますので。
中:このコロナの影響で行事を縮小開催する施設が多くなり、保護者からも行事の様子を見てみたいという要望が増えています。行事の写真を連絡帳で共有できたら良いと思います。連絡帳製本サービスも保護者からの問い合わせが多く、導入を検討しています。
島:コドモンの便利な機能を情報共有してシステムのリファインにつなげるなど、自治体同士の横の繋がりや職員の生の声をフィードバックする仕組みができたらいいと思います。
(保護者 M.Mさん N.Mさん)
M.Mさん:アプリで写真の購入など気軽にできるようになりました。保育園からの連絡もアプリですぐに確認できるので見やすく、便利です。先生たちとの会話のきっかけも増え、コミュニケーションは以前より増えました。家族全員で登録して同じ情報が見られるので、家族間の情報伝達にも役立っています。
N.Mさん:ノートの連絡帳は手書きの文字の温かみが魅力でしたが、毎日の記入は負担でした。アプリを使って園とやりとりができるようになり、時間と場所を気にせず入力ができて、他の区の友人からも羨ましがられています。保育園での子どもの様子を写真で見られる点も気に入っています。通知がくると夫と「コドモン見た?」と連絡し合い、毎日の楽しみになっています。
M.Mさん:先が見えず不安な中、渋谷区からは緊急事態宣言が発令された場合の方針について事前に連絡がきたので心構えができました。保育園の休園が事前に予測できたので、仕事の調整なども早くから対処できたと思います。区からの連絡は、メールに加えてコドモンのアプリにも通知が来るので、情報のキャッチアップがしやすく、抜け漏れがないので非常に便利です。休園中は、保育園との関係が一時的に途絶えてしまうのではと心配しましたが、コドモンを通じてこまめに連絡をいただき、子育てで孤立しないでいられたという感覚があります。
N.Mさん:もともと「しぶや保育メール」というメール配信をしてくださっていましたが、メールでは見落とすこともありました。それがコドモンのアプリからも通知がくるようになり、ほぼリアルタイムで情報を見て家族に共有し、職場に動き方の相談をするなど最短時間で対応できました。自宅保育中は、園長先生がこまめにコドモンでメッセージをくださったり、先生方が遊びを配信してくださり、とても感動しました。
M.Mさん:区が主催する親子イベントや子育てに関する情報が多く、子どもと出掛けるきっかけにもなっています。近くに子育てをする友人や知人がいない中でも情報を取得でき、不安なく子育てできています。いろいろな働き方の家庭に理解があり、保育園入園時の書類の書き方など細かい部分のフォロー体制も手厚いと感じています。
N.Mさん:渋谷区子育てネウボラという妊娠・出産・育児をサポートする独自の取り組みなどもあり子育て支援に力を入れている印象があります。区の取り組みはスピーディーでどれも共感でき、共働き世帯にも理解が深いと思います。子育てをきっかけにますます区に対する愛着が湧きました。