施設が安心してものを選んで購入できる環境を 保育施設向けECサイト「コドモンストア」ができるまで

コドモンの取り組み

コドモンが運営する保育施設向けECサイト「コドモンストア」。おもちゃやおひるね用品、防災グッズにいたるまで、保育施設に必要な備品を1,500点以上取り扱っています。今回は、運営を担当する事業開発部 ECチーム マネージャーの神保(写真右)と、サービス開始から現在にいたるまでコドモンストアに関わる同部の富田に話を聞きました。

神保ひかり
事業開発部 ECチーム マネージャー。ベビー・キッズ用品の商社で、法人営業、マーケティング、ECサイト運営部門のマネジメント等を経験したのち、2023年コドモンに入社。

富田朋恵
事業開発部 ECチーム所属。Web系のマーケティング会社でマネー・ファッション等のサイト運営を経験。2016年、コドモンの前身企業であるスパインラボに入社。マーケティング、営業等を経験後、2021年より現職。

施設の声を製造現場に届けて

コドモンストア立ち上げの経緯を教えてください。

富田:きっかけは、保育施設向け製品の販売を行う会社さんから、コドモン代表の小池にいただいたお話でした。

それは、最近、インターネット上で買った子どもたちの椅子が、すぐに壊れてしまう施設の事例が増えているという話です。子ども向けにしっかりつくられた製品を選べば、10年、20年もつものの、インターネットの情報だけで製品のよし悪しを判断するのは難しいことなどをうかがい、「施設が安心してもの選びをできる環境をつくりたい」という、いとう教材社さんの想いに私たちも共感したのが始まりでした。

神保:コドモンが間に入ることで、製造現場に施設の声を届けやすくなり、より保育現場のニーズに沿ったものづくりができるのではないかという期待もあり、前述の保育用品販売業者さんとコドモンで一緒にサービスをつくることになったんです。

コドモンとしては初めてのECサイト。最初は大変なことも多かったのではないですか?

富田:ECサイト運営は、誰も経験がなかったのでもう完全に手探り状態でした。「返品って受け付ける?」「送料はどうする?」など、ひとつずつ話し合ってルールを決めながら進めました。最初の商品数も少なくて、ICカードくらいしかなくて。「本当にこれで大丈夫かな……」とよくつぶやいていたのを覚えています(笑)。

その後、なにか転換点はあったのでしょうか?

富田:ひとつは、ICTシステム用の「iPad」の販売を始めたことです。先生たちからの「どのデバイスを購入すればよいかわからない」という声を受けて、コドモンの動作環境に合わせた端末を選んで掲載したところ、すごく喜んでいただきました。

新型コロナウイルス感染症が流行った時期のことも印象に残っています。衛生用品が品薄になるなか、メーカーさんに協力いただいてマスクを半額で提供したキャンペーンを行ったところ、大きな反響がありました。

神保:ありがたいことに、 保育園を応援したいという気持ちで協力してくださるメーカーさんがとても多いんです。これまでにも、配送料が高くつきやすい沖縄県の施設への送料無料キャンペーンや、新年度準備品セール、お散歩車の割引など多くの場面でご協力いただきました。

先生たちが安心して使えるものを。オリジナル商品へのこだわり

利用施設の方からはどんな声が届いていますか?

富田:ネットのサービスは機械相手という感覚があるけれど 「コドモンストアは人が運営している感じがあって、安心する」と言っていただいたことがあります。 「どうせ買うならコドモンさんで」と言ってくださる方もいて、本当に励みになります。

神保:コドモンポイント」も好評です。園内の決裁の承認が下りるまでがすごく大変とおっしゃっていた園の先生からも、「コドモンポイントを使えば、そのとき必要なものがすぐに買えるので助かった」とお言葉をいただくことがあります。

実際に、運動会の時期に玉入れのカゴがポイントで購入されたり、発表会シーズンの11月、12月になるとハンドベルが売れたりなど、そのときの施設の状況にあわせて活用いただけていると感じます。ポイントでの購入動向を見て、施設のみなさんの今の状況を想像するのが、個人的な楽しみのひとつです。

コドモンポイントについてもう少し詳しく教えてください。

富田:コドモンストアでの買い物や、ICTコドモンでの写真販売などを通じて貯まるポイントです。貯まったポイントは、コドモンストアの中で使っていただくことができます。もともとは「写真販売の収益を施設へ還元したい」という思いから始まった施策です。現金の受け取りに抵抗のある施設でも、ポイントなら受け取りやすいですし、そのポイントで施設の備品を整えることができれば、子どもたちのためにもなります。

神保:施設の方からは、「保護者のみなさんに預けていただいた利益なので、子どもたちのために使いたいんです」とお声をいただくことがあります。素晴らしい考え方だと思いますし、こういった取り組みができるのはコドモンならではだと感じます。

コドモンストアでは、オリジナル商品の開発にも力を入れていますよね。

神保:そうですね。オリジナル商品はいくつかありますが、最初に開発したのはiPadケース「CoVAcO(コバコ)」でした。市販品もたくさん見たのですが、保育施設で使うとなると無骨すぎたり、重たかったり、子どもがぶつかったら割れてしまいそうだったり……と、どうしてもあわない部分が出てきてしまって。施設の雰囲気にあった、保育現場の方々が安心して使えるものを届けたいという思いで、開発を決めました。


(コドモンストア オリジナルの木製iPadケース「CoVAcO」)

具体的にはどんな工夫をしているのですか?

富田:例えば、CoVAcOは園の入口に馴染む木製で、本体の四隅には丸みをもたせ、塗料は使用していません。また、最近制作した持ち運び用のiPadケースには、コドモンオリジナルで肩当てのクッションを付けています。普通のストラップだけでは、施設で一日中ケースを下げていると首や肩に結構な負担がかかってしまうためです。このちょっとした工夫が「施設のことをよくわかってくれてる」と、すごく好評でした。些細なことですが、先生たちの使いやすさを考えて、どこかに「+α」のアイディアを取り入れるようにしています。

現場理解と誠実さを大切に。違和感がある注文には電話でフォロー

サービス開始から4年が経ち、なにか変化はありますか?

神保: コドモンストア内の「コラム」を読んで、商品を購入される方が増えてきました。例えば、子ども向けの紙エプロンのコラムでは、各家庭からの持参をやめて園内で統一した紙エプロンを使うことで「名前チェックの手間や入れ間違い、洗濯・梱包の負担がなくなるため、現場の省力化につながる」という切り口で紹介したところ、反響が大きかったです。

商品の価格だけでなく、背景に共感して購入いただける流れができていると感じますし、私たちが発信する情報に価値を感じてもらえていることが嬉しいですね。

施設の方からの信頼を感じます。信頼いただけている理由はありますか?

神保:そうですね……もちろん売り上げは大切なのですが、私たちは、それ以上に「この情報は施設のみなさんにとって有益か?」というところを考えています。そういった姿勢に対して、信頼していただいているのかなとは思います。あとは、顔が見えるというところにもつながりますが、ECサイトにしてはかなりこまめに連絡をとるんです。

どんな連絡をとっているのですか?

神保:例えば、注文内容に違和感があったときは、確認のお電話をするようにしています。「短時間に同じ商品を複数注文されていますが、間違いないですか?」とか、「この機材とこの機材は相性がよくないのですが大丈夫ですか?」など。売り上げだけを考えれば、そのまま発送した方がいいのかもしれませんが、それでは本当の意味でお客さまのためにはなりません。そういった対応に、安心感を持っていただいているのかもしれません。

富田:あとは、保育施設の運用をわかっているというのは大きな強みだと思います。一例ですが、保育施設は補助金で運営されているところが多いため、見積書・納品書・領収書などの書類がとても大切で、商品購入後は書類をスピーディーに発行することが求められますよね。多くのECサイトでは難しい部分かもしれませんが、私たちはそうした事情を理解しているからこそ、きめ細やかに対応できているのではないかと思います。

支払い方法についても、オープン当初はクレジット決済かICTコドモンの利用料とあわせて払う形しかありませんでしたが、施設から「請求書払いにしたい」と相談いただいたことをきっかけに、請求書払いにも対応する形に変更しました。

他にもコドモンストアを運営していて、他のECサイトの違いを感じることがあれば教えてください。

神保:一般的なECサイトでは、使い方が合わないお客様は「仕方ない」と切り捨てられてしまうこともあると思うんです。でも私たちは違います。先生たちにとってわかりやすく、迷わず安心して施設にとって最適なものを選べるよう、サイトの表現や導線一つひとつに工夫をしています。

例えば、iPadの紹介でも、単に「〇〇インチ」とサイズを書くだけでなく、「第〇世代でホームボタンのあるタイプ」など他の特徴を説明するようにしています。実際に使う時のイメージがわくように心がけて商品を紹介したりご案内をしています。

モノからコトへ、広がる支援の形

最後に、コドモンストアの今後の展望について教えてください。

神保:私たちのミッションは、「保育者のみなさんが子どもと向き合うための最高の施設環境を、手間なくスピーディーに提供する」ことです。この「手間なくスピーディーに」には、単に商品が早く届くという意味だけでなく、迷う時間を減らす情報提供や相談しやすいサポート体制といったことも含まれています。

物品の購入を思い立ったときに、まず最初に思い出してもらえるサイトでありたいですし、将来的には、施設運営に必要なものやサービスがなんでも揃っていて、気軽に相談もできるような存在になれたらと思っています。そのために今注力しているのが「無形商材」の取り扱いです。

無形商材というと、具体的にはどんなものがあるのでしょうか?

神保:例えば、エアコンクリーニングや害虫駆除、園庭の整備、給食の食材選定に関する相談などです。「どこに頼めばいいのかわからない」と悩んでしまいがちな内容を、コドモンストアが窓口となって一緒に解決していけたらと思っています。

富田:また、無形ではありませんが、今年からiPadとiPhoneのレンタルも開始しました。これも、ICTコドモンを利用する施設の方からの「デバイスが足りないけれど、買うのは負担が大きい」という声を受けての取り組みです。

まだまだICTコドモンとくらべると規模が小さいサービスですが、施設のみなさんにもっとコドモンストアのことを知っていただけるよう、これからも頑張っていきたいです。

ありがとうございました!

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