保育者同士の新しいつながりを築く 職員間連絡アプリ「せんせいトーク」ができるまで

コドモンの取り組み

2025年7月8日リリース予定のコドモンの新サービス、こども施設向け業務連絡ツール「せんせいトーク」。職員間の連絡や施設全体への情報共有が気軽にでき、職員全員のチームワークを高めるための幼保業界に特化した業務連絡ツールです。元保育士で、自身も保育現場でチャットツールの使用経験がある事業開発部の佐伯遥馬に、開発の経緯と今後の展望を聞きました。

個人のアカウントでの連絡に不安を感じる施設の声

いよいよ新サービス「せんせいトーク」がリリースされますね! まずは立ち上げの経緯を教えてください。

きっかけは、施設内の職員間での連絡に、潜在的な課題を感じている方が多くいると知ったことでした。コドモンとしても何かできないかと考えたのが始まりです。現在、こども施設での職員同士の連絡は、SNSやチャットツールを活用しているところもあれば、口頭での伝達や、園内の回覧板や紙で情報共有している施設もまだまだ多くあります。

口頭や紙で情報共有をしていると「言った言わない問題」が起きたり、大事な情報をどこに書いたかわからなくなってしまうなどの課題があります。また、こども施設はシフト制が多いので、情報を書いて帰宅したあとに「ああ、これ明日の朝伝えたかったのに……!」「遅番の人に、保護者への伝達を伝え忘れた」といった情報共有の漏れが起こる場面もあると聞きます。

一方、チャットツールを使っている施設でも、情緒面・セキュリティ面での課題があることがわかってきました。チャットツールを活用している園の多くは、職員がプライベートで使っているツールを用いて連絡をとっているケースが多く、「本当は教えたくなかったけれど、個人のアカウントを使わなければいけない」といった声もよく聞きます。また、プライベートのツールを使うことで、誤って園児の情報を外部の人に送ってしまうなど、セキュリティ面でのリスクもあり、実際に誤送信してしまったことがあるというお話も聞くようになりました。

個人のアカウントでのやりとりには、抵抗がある人も多そうですね。こういった課題の存在に気づいたきっかけはありますか?

やはり、施設の方とのやりとりや社内からの声でしょうか。コドモンには保育士経験があるメンバーが多く、私自身も元保育士で、現役のころは個人のチャットツールで仕事の連絡を取り合っていました。さまざまな施設の方と話す中で「コドモンさんは、チャットツールは提供してくれないんですか?」と聞かれることも多いと、社内のメンバーからも声があがっていました。

そうした中で、より園での困りごとを理解したいと思い、2025年の1月にコドモンの利用施設を対象に「施設内コミュニケーションに関するアンケート」を実施しました(回答数:1086件)。一番驚いたのは、プライベートのチャットツールを使っている施設が想像以上に多かった(75.2%)ことです。

「施設内コミュニケーションに関するアンケート」レポートより引用)

また、法人の担当者の方にヒアリングした際には、園ごとにツールを使っていて、複数のツールの把握や利用者の管理に負荷がかかっていることも感じました。

「導入ハードルが低かった」リスクが下がり管理もラクに

「せんせいトーク」の正式リリースに先立ち、まずはベータ版が発表されました。開発する上で工夫した点を教えてください。

ひとつは、みなさんが普段使っているチャットツールと画面や操作性を近いものにし、すぐに使いはじめていただけるようにしたことです。毎日の業務で連絡を取り合っていただく上で、わかりやすさや使いやすさは特に大切だと感じていて、マニュアルがなくとも操作いただけることを目指してシンプルな設計にしています。

また、コドモンではICTを利用いただいている施設が多くありますが、情報漏洩や事故を防ぐため、「せんせいトーク」側からICTのデータには接続できない仕様にしています。職員が情報を見るときは、どうしてもスマートフォンなどプライベートの端末を使うことが多いかと思います。個人の端末から直接、園児の情報などにアクセスできる状態はあまりにリスクが高いため、安全性を大切にしています。一方で、職員のアカウントはコドモンのICTシステムと統一しています。職員が入職・離職した際には、コドモンの管理画面を操作するだけで、登録・解除作業が完結する形をとっています。

常に「こども施設がコドモンを使う際の課題は何か? どうすれば毎日安心・安全に使えるか」というところを意識して開発しています。

施設の方からはどんな反響がありましたか?

事前にベータ版の利用に協力いただいた施設からは、「普段使うチャットツールに近い操作性を維持できるため、導入のハードルが低かった」と言っていただけることが多いです。使い始めてからも操作に関するお困りの声は少なくて、こちらから細かくご案内をしなくても多くの施設が自発的に使い込んでいってくださっています。

あとは、やはり安全面ですね。2025年2月に実施したベータ版を利用した施設向けのアンケートでは、約6割が「プライベートと業務連絡ツールを分けることができる」点が特によかったと回答いただきました。

他にも「もともと感じていたコミュニケーションにおける課題のすべてが、『せんせいトーク』で解決できている」といった嬉しいお声もあり、こども施設専門の業務連絡ツールへのニーズの高さを改めて感じました。

姉妹園とのグループや、園長会後のコミュニティ開設も

今後「せんせいトーク」をどのように利用していっていただきたいですか?

「せんせいトーク」の基本機能として、個別・グループでのチャットや、施設内でのみ閲覧可能な掲示板があります。普段のチャットツールに近い感覚でお使いいただけるので、現状の職員間連絡に不安を感じている施設の方には、ぜひ使ってみてほしいです。

またリリース後も、利用施設の先生たちの声をもとに少しずつ機能をアップデートしていく予定です。施設内での連絡だけでなく、例えば、法人内で姉妹園の園長グループをつくったり、園長会の連絡ツールとして使っていただいたり、園長同士でつながって交流するといったこともできるようになる予定です。もちろん、コドモンのICTシステムを使っていない方でも使っていただける形を考えています。

保育者の横のつながりが生まれるのはとても素敵ですね。新しいつながりが生まれた先で、どんなことが起こると思いますか?

そうですね……。例えば、北海道の保育園に勤める人と、沖縄の保育園の人との間でコミュニケーションが生まれたとします。お互いの保育活動について話す中で、沖縄では「園内でサトウキビから砂糖をつくる」、北海道では「鮭の解体ショーを保育活動の一環として行う」といった話が出たときに、それぞれの園の活動をコミュニティを介して交換できるのではないかと思うんです。

サトウキビを北海道に送って、北海道で砂糖をつくってみる、というように。他にも「園のクリスマス会をオンラインで一緒にやりましょう!」といったことも実現できそうですよね。もちろん、いろいろ制約がある中でですが、地域を超えた保育者同士のつながりが、それぞれの園の保育活動の広がりを生むのではないでしょうか。

非常にワクワクする話ですね。他に開発を予定している機能はありますか?

まだ検討段階ですが、「AIアシスタント機能」のようなものも考えています。園ごとに自分たちでカスタマイズできる機能も提供したいですね。災害対策や嘔吐処理など、園独自のマニュアルをAIチャットボットに読み込ませることで、緊急時も早期に情報をキャッチできるようになるのではないでしょうか。ひとつのサービスの中で、人と人・人とAIのコミュニケーションの両方があることで、保育の質がどんどん向上していくのではないかと思いますね。

最後に「せんせいトーク」の今後の展望を教えてください。

今後、「せんせいトーク」を使う園が広がることで、業界内で「プライベートとビジネスは分けよう」という大きな流れが生まれるのではないかと思っています。オンオフの切り分けができることは、職員にとっての働きやすさにもつながります。

その先で、こども施設の関係者であれば全国誰もが「せんせいトーク」を使っており、アプリの中から、これまでなかった保育者同士の新しいつながりが生まれていったらといいなと思っています。

>「せんせいトーク」についてもっと知りたい方はこちらからどうぞ

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