保育ICT推進加算や新たな減算が開始【こども家庭庁 R8年度予算案】

政策解説 補助金・交付金保育

令和8年度(2026年度)のこども家庭庁予算案では、約7兆5,000億円が計上されました。 本年度もいくつか制度や加算の仕組みにおいて変更が予定されています。
「園への影響がどの程度あるのか、わからない」 「新しい加算を取りたいけれど、要件が難しそう」
そんな不安を感じている施設長先生も多いのではないでしょうか。 今回は、膨大な資料の中から、園の運営と経営に直結する「4つの重要なポイント」を整理してご紹介します。

【新設】「保育ICT推進加算(仮称)」とは|4つの要件と加算額・対象外の条件

これまでのICT導入補助金は、パソコンやタブレットの購入費用やシステムの初期費用など「導入費」に対するものでした。しかし、令和8年度からは、ICTを「活用していること」に対して、加算がつく新しい仕組みが始まります。
これは、国が「ICTはあって当たり前のインフラ」と位置づけたことを意味します。この加算を受けるためには、主に以下の4つの要件を満たす必要があります。

加算要件

① ICT活用推進責任者の配置
園内に「ICTの担当者」を置く必要があります。 「パソコンに詳しい人がいない……」と心配されるかもしれませんが、必ずしも専門的な資格が必要なわけではありません。システム会社との連絡窓口になったり、職員への使い方をサポートしたりする役割を担う方を配置すれば問題ありません。

② 4つの機能の活用
以下の4つの機能を持つシステムを活用していることが条件となります。

③ 情報の公表
ここdeサーチで施設の運営状況に関する情報の最新化をしていることが条件となります。
また、自治体から修正の指摘があった場合、適切に対応をしないと加算の対象外となるため、注意が必要です。

④ 政府システムの活用
「保育施設業務管理プラットフォーム」や「保活情報連携基盤」といった、国のシステムを活用していることが求められます。施設において上記2システムを活用するには、自治体が、国に対してシステムの利用申請を行っている必要があります。まずは、自治体がどのような対応方針かを確認しておくと安心です。

加算内容

  • 幼稚園、保育所、認定こども園:30万円/年
  • 地域型保育事業:18万円/年

加算の対象外

  • 「保育所等におけるICT化推進等事業」による補助を受けて、システムの導入などを行った年度
    (令和7年度中に補助金を活用して導入した場合は令和8年度から加算
    令和8年度に補助金を活用して導入した場合は令和9年度から加算)

引用元:令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項(案)

※2026年2月10日時点の速報・案をもとに解説しています。
最終的な確定情報は、こども家庭庁や自治体からの通知を必ずご確認ください。

経営情報の報告における「減算」規定の開始

2つ目のポイントは、「減算」についてです。
経営情報の報告自体は、すでに令和7年度(2025年度)からすべての施設で義務化されています。令和8年度からは、未報告に対する減算が開始されます。 もし、この報告を行わなかったり、虚偽の報告をしたりした場合、基本分単価からの減算(運営費が減らされる措置)が適用されることになります。
この減算規定は、令和8年(2026年)7月から適用開始となる見込みです。
報告は原則として事業年度終了から5か月以内(例:3月決算なら8月末まで)に行う必要があります。 万が一、この期限を過ぎて3か月以上報告がない場合、減算が開始される見込みです。

例)3月決算の場合

  • 8月末まで: 報告期限
  • 9月~11月: 督促期間(まだ減算されないが、要対応)
  • 12月以降: 未報告の場合、減算適用
    ※自治体によって運用が異なる場合がありますので、必ず通知をご確認ください。

【全国展開】 こども誰でも通園制度の単価が公開

試行事業が行われていた「こども誰でも通園制度」が、いよいよ全国で制度化されます。 これは、就労要件を問わず、すべての子どもが時間単位で保育園を利用できる仕組みです。
今回発表された基本分単価は、以下の通りです。

  • 0歳児:1,700円/時間
  • 1・2歳児:1,400円/時間

これは、既存の一時預かり事業の単価水準などと比較しても高水準な設定となっています。また、あわせて加算分単価についても充実・新設される案が出されています。
この制度は、空き定員を有効活用できる点も特徴です。少子化で定員割れが心配される中、まずは「誰でも通園」で地域の親子とつながりをつくり、将来的な正規入園につなげていく……といった経営戦略としても活用できます。

3歳児配置基準はいつから義務化?経過措置の終了時期が決定

最後は、職員配置基準についてです。 3歳児の「15対1(子ども15人に保育士1人)」という新基準について、重要な期限が示されます。

  • 令和9年度末(2027年度末)まで: 経過措置期間(従来の20対1でも可)
  • 令和10年度(2028年度)から: 「15対1」が完全義務化

つまり、令和8年度・9年度は、完全移行に向けた準備期間のラストスパートにあたります。 令和10年度になってから慌てて採用活動をしても、保育士不足の中で人員を確保するのは困難です。今のうちから、新基準を見据えた採用計画を立てておく必要があります。

まとめ

令和8年度予算案から見る、園経営の4つのポイントを振り返ります。

  1. 「保育ICT推進加算」新設:ICT活用が当たり前の時代へ
  2. 経営情報の報告義務化:未報告は「減算」対象に。透明性が必須条件
  3. 「こども誰でも通園制度」:空き定員の有効活用と園児獲得のチャンス
  4. 3歳児配置基準「15対1」:令和10年度の完全義務化に向け、計画的な準備が大切

特に「保育ICT推進加算」については、「キャッシュレス決済」や「登降園管理」など、システムに求められる機能要件が決まっています。 加算の取得漏れを防ぐためにも、現在お使いのシステムがこれらの要件を満たしているか、あるいは満たす予定があるか、早めに確認することをおすすめします。
「自園のICTを見直したい」「ICT加算の要件について詳しく知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
相談窓口

参考:
令和8年度こども家庭庁当初予算案のポイント
令和8年度こども家庭庁当初予算案(参考資料)
令和8年度予算概算要求について
保育所等における継続的な経営情報の見える化について
令和8年度公定価格・基準等の見直し事項(案)
こども誰でも通園制度の本格実施に向けた検討会における取りまとめ
こども誰でも通園制度の本格実施に向けた検討会(第3回)公定価格について

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