ー島田さんは、こちらの施設に来る前は長く保育士として働かれていたそうですね。
はい、保育士として20年ほど保育の現場にいました。その中で集団生活に戸惑いが見られるお子さんと出会う機会もあって……。保育園での仕事はすごく好きだったのですが、大規模な集団保育の中だとどうしても、一人ひとりをなかなかちゃんと見てあげられない。どう関わっていいのか、どう接するのが正解なのかがわからないというのが、ずっと気がかりでした。
ー今の環境へ移るきっかけはなんだったのでしょうか。
きっかけは自分の出産でしたね。以前働いていた保育園は朝早くから夜遅くまで開いていたので、子育てをしながらそこで働き続けるのがなかなか難しくなってしまって。働きやすさと「子どもと接すること」を両立できる場所を探していたときに、児童発達支援の現場に出会いました。実際に働いてみると、保育園でもここでも、お子さん一人ひとりが違うという点ではまったく変わらなくて。むしろ、よりその子のピュアな部分にふれられるようになったなと感じています。

ー今年からは児発管として活動されています。どのような経緯で児発管になられたのでしょうか?
最初は施設の代表から声をかけてもらったことがきっかけですが、自分の中の「もっと勉強したい」という気持ちも大きくありました。もし児発管にならなかったら、自分のペースでゆっくり療育や発達支援について知っていこうかなという感じだったと思うのですが、この役割をいただくことで、もっと勉強して、高みを目指さなきゃと、いい意味で自分を追い込む決意ができました。
ー児発管になってから、仕事への向き合い方に変化はありますか?
保護者の方への対応や、考えをうかがう姿勢がより慎重に、丁寧になったと思います。保育園時代は、ある程度「一律の成長」という前提があって、そこを目指して保育をしていた感覚があったのですが、今は家庭とそのお子さん一人ひとりに本当の意味で向き合っている実感があります。例えば、お友達との関わりを最優先にしたい家庭もあれば、まずはお子さんが落ち着いていられることを大切にしたいと考えている家庭もあります。それぞれのご家庭の意向を大切に、どうありたいのかを丁寧に聞き取ることを、今はすごく意識していますね。
ー保育園時代、発達のサポートが必要なお子さんと関わるときに具体的にはどのような難しさがあったのでしょうか。
例えばですが、思い通りにならないと椅子を投げたり他害が出てしまったりするお子さんがいるとします。本人は気持ちを落ち着けられずに悲鳴を上げているような状態なのに、保育園という枠組みの中ではどうしても「集団の中にいてもらわなくてはいけない」というジレンマがあって。別室に連れて行ったとしても、それが本当にその子のためになっているのか確信が持てず、ゴールが見えないまま卒園させてしまう。そんなこともありました。そういったお子さんが何人かいて、もっと何かしてあげられたのではないかという気持ちは、ずっと残っています。
ー今なら、そのお子さんにどのような支援を届けたいですか。
まずは、とにかく安心できる場所をつくってあげて、信頼関係を築くことを最優先にします。その上で、本当に小さなことの積み重ね、「スモールステップ」を大切にしたいですね。今は、言葉が話せなくても表情や目線などの「言葉以外の情報」から、その子が何に興味を持っているのかを引き出すようにしています。その子のリズムに合わせられる環境で、じっくりとお子さん一人ひとりに向き合えるようになったのは、私にとってすごく大きな変化です。

ー現場の先生方とは、どのように業務を進められているのでしょうか。
児発管という役割は、周囲から大変そうだと思われることもありますが、私の施設では現場の先生たちがすごく熱心に私の話を聞いてくれますし、情報を共有してくれるので、チームで一緒に支援ができている心強さを感じています。私は、児発管が特別な位置にいるとは思っていなくて。みんなの意見を吸い上げて、「次はこういう道でやってみましょうか」と、道を整えていく役割なのかなと思っています。
ー支援に関わる人みんなが、同じ方向を向くための体制づくりですね。
そうですね。大人も子どもも、スタッフもご家族も、関わる人みんなが笑顔でいられるのが一番いいなと思っています。お子さんの状態をしっかり見て個別支援計画を立てるのはもちろんですが、現場の先生が無理なく支援できる体制をつくることも大切。子どもたちが小さな成功を積み重ねて、お父さんやお母さんも一緒に喜びを分かち合える。そんな笑顔の連鎖を、少しずつつくっていきたいんです。

ー今後の目標や、これから挑戦してみたいことを教えてください。
今以上に知識を身につけて、ご家族やスタッフのみんなに「島田さんなら安心して任せられる」と思ってもらえる存在になりたいです。あとは、お子さんたちの可能性をもっと広げてあげたい。例えば、バスや電車に乗ると叫んでしまうから乗れない、とおっしゃっていたお母さんがいたのですが、もし施設で体験の機会をつくって少しずつ慣れていければ、ご家族での移動も楽になりますよね。そういった小さな積み重ねで、その子と家族の生活の幅を広げていってあげたいなと思っています。
ー最後に、児発管という仕事について一言お願いします。
以前は、子どもと関われる場所は保育園か幼稚園しかないと思っていました。でも、発達支援の現場にきてみて、子どもたちと関わることで得られる喜びは何も変わらないですし、むしろより密に関われることで、働いている自分自身の心もすごく満たされるなと感じています。
児発管は、やりたい方針を自分で整え、トライしながら可能性を広げていける仕事です。今まで疑問に思っていたことにもひとつずつ向き合い、やりたいと思ったことを叶えていけるこの仕事は、本当に魅力に溢れていると思います。

島田さんが働いている施設
施設名:すまはぴパーク曳舟
形態:児童発達支援(定員:1日10名)
設立:2025年
所在地:東京都墨田区東向島6丁目9-13MTビル2階
※2026年1月26日時点の情報です
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