近年、全国的に保育ICTの導入が進んでおり、「もっと保育に集中したい」「紙の記録作業に時間を取られすぎている」という声に応える形で注目されています。
しかし、「導入したいけど費用面が心配」「自治体の補助金がない」という施設も少なくないかと思います。
そこで今回は、保育園などでも活用できる「IT導入補助金」について、解説します。
IT導入補助金は、国が中小企業・小規模事業者を対象に、ITツールの導入を支援する制度です。保育施設の多くもこの「中小企業等」に該当し、対象となります。
● 制度の目的
この補助金の目的は、事業者の生産性向上やデジタル化の促進です。2024年度からは、IT活用の定着を促すための導入後の「活用支援」も対象となりました。
● 保育施設でも使えるのか
社会福祉法人や学校法人が運営する保育施設も、条件を満たせば対象になります。
● どのくらい補助されるのか
利用する補助金枠の種類や申請する金額によっても変わりますが、1/2~3/4の補助率となることが多いです。
補助金なので返済は不要となり、初期投資を抑えながら導入できます。
申請枠はいくつかありますが、保育施設にとって特に活用しやすいのは次の2つです。
※ツールの導入などにかかる消費税は補助対象経費には含まれません。
業務の生産性向上を目的としたITツールの導入に使えます。
📌 補助対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(セキュリティ対策実施費用など)、導入後の活用支援に関わる費用(導入・活用コンサルティング、マニュアル作成、保守サポートの費用など)
📌 補助額:
・ 1~3プロセス(※)のツール:150万円未満
・ 4プロセス以上の機能:最大450万円
※プロセス=「決済」「総務・人事」などIT導入補助金で決められた業務プロセスのこと
📌 補助率:1/2(最低賃金近傍の事業者(※)の場合は2/3)
※地域別最低賃⾦+50円以内で3か月以上雇⽤している従業員が、全従業員の30%以上である事業者
ITツールだけでなく、パソコンなどのハードウェア購入も対象になるのが大きな特徴です。
対象となるITツールは、インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済の機能が付いているものに限られます。
📌 補助対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、導入後の活用支援に関わる費用、パソコン・タブレットなどのハードウェア
📌 補助額:
・ ソフトウェア
1機能:最大50万円
2機能以上:最大350万円
・ パソコン:最大10万円
📌 補助率:
・ ソフトウェア
50万円以下の場合:3/4(小規模事業者は4/5)
50万円~350万円の場合:2/3
・ ハードウェア:1/2
2024年度からは「導入後の活用支援」も補助対象になりました。
たとえば、
・ 操作に慣れるための導入研修
・ 園にあった活用方法のコンサルティング
・ 導入後の保守サポート
といった費用が、補助金の対象となります。
IT導入補助金の申請は、「ただ申し込むだけ」ではなく、いくつかの事前準備や必要な手続きがあります。ここでは、スムーズに申請するためのステップをご紹介します。
GビズIDプライムアカウントの取得【必須】
申請には、国が運用する「GビズID」のプライムアカウントが必要です。
これは電子申請を行うためのIDで、法人の代表者が申請・発行する必要があります。
・ 発行には約2週間かかるため、早めの取得が重要
・ 申請書類(印鑑証明など)も必要
GビズIDの公式サイトはこちら
SECURITY ACTIONの宣言【必須】
中小企業や保育園などが、自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度です。申請には、「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかの自己宣言IDが必要です。
・ 発行には1週間程度かかる
・ 交付申請時には「宣言済アカウントID」を記載
SECURITY ACTIONの概要はこちら
IT導入補助金の対象となっている事業者・ITツールの中から、選定を行います。
ツール検索はこちら
コドモンも対象になっています。
IT事業者が施設の担当者を、IT導入補助金専用の「申請マイページ」へ招待します。
1.【IT事業者】メールなどで「招待案内」を送る
2.【施設ご担当者】申請に必要な情報を入力する
3.【IT事業者】ツールの情報などを入力する
4.【施設ご担当者】入力内容を最終確認し、事務局へと提出することで申請が完了する
コドモンではIT導入補助金採択の実績がありますので、安心して申請いただけます。
審査が完了すると、交付決定の通知がされます。
「交付決定通知」を受け取るまで、契約や導入は行わないようご注意ください(補助対象外になる恐れがあります)。
ITツールの発注・契約・支払いを行います。
1.【施設ご担当者】導入完了後、「納品書・請求書・明細書」などの証憑書類をもとに、事業実績報告を作成
2.【IT事業者】内容の確認と必要事項の入力をする
3.【施設ご担当者】最終確認を行い、事務局に提出
事務局で内容の検査が行われ、問題がなければ補助金額が確定し、施設側でオンライン上の「承認手続き」を行います。
補助金交付から一定期間後、ICT導入による効果(業務効率の改善など)についての報告を行います。施設側で必要な情報を入力し、IT事業者の確認後、提出します。
保育の現場では、限られた人手と時間のなかで、さまざまな業務に対応しなければなりません。その負担を少しでも軽減し、よりよい保育環境を整えるための手段として、ICTの活用が注目されています。
IT導入補助金は、こうした取り組みを後押しする制度です。今後ますます重要となる園のデジタル化に向けて、ぜひ補助金の活用もご検討ください。
【申請までの流れがわかる】IT導入補助金以外の補助金に関する解説記事はこちら
参考:IT導入補助金2025
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