異業種を経験したからこそわかった、子どもと過ごす時間の濃密さ【鳴神美咲園長先生】

すてきな園長先生 保育

今回お話を聞いた方

鳴神美咲(園長)
出身地:徳島県阿南市
保育園以外の職歴:保険会社の営業職
保育園勤務歴:4年
園長先生歴:1年
趣味:近場の温泉めぐり、沖縄旅行、友人と居酒屋に飲みに行くこと
好きな手遊び歌:「三ツ矢サイダー」

ピアノへの思いから保育士の道へ

鳴神先生が保育士を志したきっかけを教えてください。

自分が幼稚園に通っていたときの先生が大好きだったこと、長年ピアノを習っていたこと、子どもが好きだったことの3つが重なったことが理由です。ピアノ歴が長かったので将来は音楽の道に進むか悩んだ時期もあったのですが、音楽業界が狭き門だったこともあり、それでも音楽に携われる仕事をしたいと考えたときに、保育士という選択肢に思い至りました。大阪の専門学校を選んだのは、徳島の実家を離れてのひとり暮らしに憧れがあったからです。

専門学校では3年コースに進んで保育全般について学びましたが、人生初のひとり暮らしと朝から夕方まで授業が詰まった日々で最初のうちは必死でしたね。スケジュールに余裕のある大学生の友人と自分を比べて、「いいなぁ」と羨ましく思ったりもしました。でも、今振り返れば現場で役立つ知識をたくさん教えてもらえたことに感謝しています。あの頃に覚えたたくさんの手遊びが、今の園でも役立っていますから。

専門学校を卒業後は、どのような進路を選びましたか?

地元の徳島に戻って、自分が幼少期に通っていた母園でもある幼稚園に就職しました。学生時代の実習もそこでお世話になったので、馴染みがあったんですね。

でも、いざ働いてみると周りはベテランの先生ばかりで……。1年目からクラス担任を任せていただいたのですが、補助もいない状態で、先輩の先生方に比べると私の技術が不足していて全然ついていけなかったんです。今思えばありがたい経験ではあったのですが、結局、最初の幼稚園は1年で辞めました。

ただ、幼稚園教諭として1年間を過ごして「別の世界も経験してみたい」「一般企業でのルールやマナーも知りたい」という気持ちが湧いたので、地元の保険会社の営業職に就きました。

異業種での挑戦を経て、再び保育の世界へ

幼稚園教諭から保険の営業とは、思い切った転職でしたね。

幼稚園で働いていたとき、保護者との会話で不安を感じる場面があったので、コミュニケーション能力を鍛えたかったんです。それならば営業職だろう、と考えました。私の担当は法人営業だったので社長さんを相手に話すことが多かったのですが、そこで相手に応じた伝え方やコミュニケーション能力を培うことができたように思います。4年間経験を積み、自分なりに「やりきった」と思えた20代後半のタイミングで再び保育の世界に戻りました。

そこからは徳島の0~2歳児向け保育園に勤務した後、同じ系列の大阪の保育園に転勤して現在に至ります。

幼稚園と保育園、両方で働いてみてどんな違いを感じましたか?

幼稚園は一人担任でしたが、保育園は職員同士で協力できるところがいいですね。とくに0~2歳児のクラスだと決して子どもをひとりにはできませんし、そのためには先生同士で声をかけあって協力しないといけないので、子どもだけでなく、保育者同士の動きを気にするようになりました。チームで子どもたちを育めるのは、保育園ならではのよさだと感じています。

園長先生になった経緯についても教えてください。

前任の園長が異動になった後、外部からこられた元主任の方がエリアマネージャーに昇進するなどの事情も重なって、私に声がかかりました。徳島の保育園時代にリーダーを経験していて自社の仕組みを理解していたこともあり、トントン拍子に話が進んで園長職をお引き受けすることになりました。園長になってから1年と少しですが、まだまだ慣れないことが多く大変です。

園長として運営に携わってみての感想はいかがですか?

コミュニケーションの難しさを感じる場面はどうしてもありますね。私は人と仲良くなるのは結構得意な方ではありますが、仕事である以上は、改善をお願いしたいことなど「伝えなければならないこと」がどうしても出てきます。園長就任時は28歳で、ほぼすべての先生が私よりも年上だったのですが、それらをどのように伝え、共有していくかについては、まだまだ勉強中です。単に仲がいいだけでは運営が成り立ちませんから 。

では保育の仕事にやりがいを感じるのはどういうときですか?

子どもたちの小さな成長を、誰よりも近くで見守れることです 。昨日までは「ズボンはかせて~」とぐずっていた子が、今日は「自分でやる!」と突然頑張り始める。そんな瞬間の子どもの目の輝き、褒めたときにすごく嬉しそうにする表情を見られる機会は、もしかしたら保護者の方よりも多いかもしれません。

また、ワンフロアの小規模園だからこそのよさも日々実感しています。異年齢の子どもたちが自然に関わり合いを持ち、上の子が下の子のお世話をしたり、下の子が上の子を見て真似をしたりと、子ども同士で学び合う姿が見られるところも魅力ですね。

19名という小さな園なので、子ども一人ひとりはもちろん、保護者の方とも密に関わり、家庭での様子を詳しく聞きながら一緒に成長を支えられるのもいいところです。私は保護者の方々には本当に恵まれているなと思うことが多いのですが、だからこそ保育者としてもっと保護者の方々の支えになれたら、悩みに寄り添えたら、というもどかしさも感じています。

プライベートを大切にしてこそ仕事は続けられる

鳴神先生が保育において大切にされていることは何でしょうか?

まずはなによりも「子どもの安全第一」です。その上で、園長としては、職員全員を毎日しっかりと見るように心がけています。「ちょっと表情が曇っているかも」と感じたら、なるべく自分から声をかけて、挨拶や何気ない会話をするようにしています。

保険の営業時代に培ったコミュニケーション能力が活きる場面もありますか?

信頼関係を少しずつ築いていくための方法は、どんな分野でも共通しているのだなと実感しました。声をかけて、相手の表情を見て、少しずつ距離を詰めていく。そのステップはどちらも共通しているかもしれません。ただ、保険営業は「商品を売る」という正解がありましたが、保育の世界には正解がありません。そこが決定的に違うところだなとも感じます。

それとは別に園長として大切にしていることとして、職員のワークライフバランスがあります。私は20代のときは仕事に追われるばかりで、自分で自分を追い込むような無茶な働き方をしていたのですが、やっぱり休日は好きなことをしてリフレッシュしないと心身が休まらないですよね。園長になって自分の持ち場だけではなく全体を見る視点を持てたことで、「やっぱりプライベートがあってこその仕事なんだな」ということにようやく気づけました。

だからシフトを組むときも、子育て中の職員をはじめ、それぞれの希望がなるべく通りやすいように調整しています。みんなが「働きやすい」と思える職場環境を整えることも園長の大切な役割ですよね。

子どもと過ごすと喜怒哀楽が濃くなる

園長先生として今後の目標は?

私は経験と知識がまだまだ不足しているので、他の園長先生の姿に学びながら、少しずつステップアップしていけたらと思っています。職員が定着しづらいという悩みがあるのですが、それでもチームワークをもっと強めて、全員で子どもたちの成長を一緒に見届けられる園づくりをすることが目標です。

これから保育士を目指す人たちにメッセージをお願いします。

私は諦めない心があれば、どんな願いでも叶うと思っています。保育士の勉強は確かに大変ですが、努力を積み重ねた学びのその先には必ず子どもたちの笑顔との出会いが待っています。

それに、子どもとずっと一緒にいると、喜怒哀楽がすごく濃くなるんですよ。私たちは大人になるにつれて感情を出すことに抑制的になりますが、子どもは思いっきりふざけるし、はしゃぐし、おもしろがる。だから仕事だけれども仕事ではないような楽しさがありますし、毎日がすごく充実しています。私の場合、アルバイトなどで他の仕事をしていたときは「終わりまであと◯時間だな」と感じていたのですが、保育士になったらもう時間が勝手に過ぎていくので、一日があっという間に終わっていますね。

もうひとつ、それぞれの園には個性があるので、園との相性もあります。ひとつの園で働いてみて合わないなと感じても、次の園では相性がいいかもしれない。いろんな保育園を見てみて、自分に合う園を見つけてほしいですね。「保育園で過ごす毎日が楽しい」と心から思えるような保育士さんが、もっともっと増えていったらいいなと思っています。

(文:阿部花恵、撮影:中村隆一、編集:コドモン編集部)

鳴神先生が働いている園
施設名:starプリスクール木川東
形態:企業主導型保育園(19名)
設立:2018年
所在地:大阪府大阪市淀川区木川東2-5-35-1F

※2025年12月22日時点の情報です

担当者インタビュー「すてきな園長先生」に込めた想い【推薦募集中】あなたの周りの「すてきな園長先生」教えてください

すてきな園長先生の記事

記事一覧をみる

NEW

新着記事