26歳で園長に就任。子どもを真ん中に信頼とチームの輪を広げていきたい【早坂美月園長先生】

すてきな園長先生 保育

今回お話を聞いた方

早坂美月(園長)
出身地:宮城県仙台市
保育園勤務歴:10年
園長先生歴:5年
趣味:最近友達に誘われて始めたバドミントン。中学はソフトテニス部、高校では硬式テニス部に所属。
好きな手遊び歌:「とんとんとんとんアンパンマン」

新卒での大型園立ち上げから、26歳での園長就任へ

早坂先生が保育士になろうと思ったきっかけを教えてください。

親戚の子たちが全員自分より年下だったからか、昔から小さい子のお世話をすることが大好きでした。高校卒業後の進路を考えたときは、美容系の仕事と保育士のどちらを目指すかで悩みましたが、保育士の資格は一生使えそうだし独学で取得できるものではないと考えて、地元の仙台の専門学校に進学しました。

専門学校での学びで印象に残っていることはありますか。

小さめのメモ帳に、覚えた手遊び歌をたくさん書き込んだ「手遊び歌手帳」を自作したことです。手遊び歌は保育士になったら必ずやるものですから、教わった手遊び歌を自分のものにするために、小さなメモ帳に全部書き留めて覚えるようにしていました。実習先でも「春だからこの歌にしよう」「この場面ならあの歌がいいかな」と季節や場面に合わせて役立てられたので記憶に残っています。

子どもはみんな手遊びが好きですが、0~2歳児クラスだと「とんとんとんとんひげじいさん」のアンパンマンバージョンが大好きな子がすごく多いですね。

実習を通じて、自分が保育士として働きたい園のイメージも浮かんできました。私が実習で行かせていただいた園は、私には少しペースや雰囲気がゆったりしすぎているように感じられて。自分自身が自然豊かな幼稚園で育ち、中学・高校とテニス部で体を動かすのが大好きだったこともあって、「子どもと一緒に思いきり動いたり遊べたりできる保育園で働きたい」と思い、自然遊びや体験を大事にしている社会福祉法人を選びました。

保育園のカラーと保育者の思いとの相性もあるのですね。

子どもが楽しく過ごせるのはもちろんですが、子どもだけじゃなく、保育者である私たちも楽しく過ごせる場所がやっぱりいいですよね。私は「子どもと一緒にたくさん遊びたい」という思いがあったので、そういう教育理念を掲げている保育園が合っていたのだと思います。

保育士1年目で勤めたのは、その年に開園する定員100名超の大型園でした。私を含めた新卒保育士10名も3月から開園準備に加わったのですが、とにかく立ち上げ時はすることが多くて大変でした。ただ、先生たち全員が同じスタートだったおかげで一気に距離が縮まって仲良くなれましたし、「子どもが楽しめるような園をつくろう」という気持ちをみんなで分かち合いながらチームになっていく過程は楽しかったです。その保育園には5年間勤務しました。

園長になった経緯についても教えてください。

2020年の1月、保育士になってもうすぐ5年目というタイミングで、今の保育園への配属と園長職への就任を法人の課長から打診されました。最初は「ちょっと自信がないので」と返事を保留にさせてもらったんですね。職員同士の冗談で「そろそろ早坂先生が園長やるんじゃない?」「いいですよ、やります!」なんて話をしたことはありましたが、その時点で私は主任も経験していませんでしたから、心の準備がまったくできていなかったんです。

でも、当時の園長も課長も「できないことがあればしっかりサポートする」と背中を押してくれたので、1週間真剣に考えて「こんなチャンスはもうないかもしれない」と考え直し、園長職を引き受けることにしました。

マネジメントの経験不足は研修や勉強会でカバー

26歳での園長就任はかなり早い年齢ですよね。しかも2020年はコロナ禍に突入した大変な時期だったはずです。

保育園でも職員全員がマスクをして保育にあたる生活が始まった頃でしたので、コミュニケーションには本当に苦労しました。子どもたちに対してもそうですが、職員間のコミュニケーションがやはり難しかったですね。それまでは顔を見ればわかったことも、マスクで半分顔が隠れるので、どんな表情で相手が話を聞いてくれているのかがわからなくて。

マネジメントの大切さも痛感しました。私ひとりが園長として今の園にポンと配属された形だったので、自分よりも園を理解している年上の保育者の方々とどう向き合うかも、試行錯誤しましたね。私自身はもとから年齢に関係なく、自分の意見を相手にしっかり伝えられる性格ですが、それでも信頼関係が結べなければ伝わらないこともある。日々の信頼とコミュニケーションがどれだけ大切かを園長になって思い知りました。

マネジメントの経験不足やコミュニケーションの困難さは、どのような方法でカバーしたのでしょう?

私は「マネジメントってなに?」という完全にゼロからのスタートでしたから、法人内のマネジメント研修や施設長勉強会に参加して知識を身につけるところからまず始めました。ハラスメントとは具体的にどんなもので、なにをどう注意すべきか、普段のコミュニケーションで心がけるべきことなどを、法人の研修でしっかり学べたのは本当によかったです。

園長になって5年が過ぎましたが、子どもたちとの接し方や保育の考え方に変化はありましたか?

変化というよりも、「チームをつくっていく」ことの大切さをますます実感しています。私たちの園のように0~2歳児クラスだと年齢的にまだ難しいですが、以前にいた大型園の3~5歳児クラスであれば、まず子ども同士がどうしたらよいチームになれるかを考えることを大事にしていました。

その目標に向かってクラスの担任同士で話し合いをするようになれば、先生同士のチームワークも高まりますよね。子ども同士、クラス、子どもと保護者、その輪がどんどん広がれば、園全体が協力し合えるよいチームになれるはずです。常に子どもを真ん中に置きながら、チームの輪を広げていくこと。これまでも今後も、そこは変わらずずっと大切にしていくつもりです。

仲良しだけのグループでも楽しいけれど、年長クラスであればチーム全員でなにかひとつのことをする楽しさも卒園までに知ってほしいですね。

チームをつくる過程においては、子ども同士のケンカも必要なプロセスだと私は考えています。それぞれの意見をぶつかり合わせながら、慰めたり、仲直りしたりを繰り返しながら子どもたちは成長していきますから。

「ただいま」と戻ってこられる場所をつくりたい

では、0~2歳児を対象とする小規模保育園として大切にしていることは?

当園は2歳児までしか預かれませんので、卒園後はみんな別々の園にバラバラになってしまうんですね。しかも、3歳児クラスになると集団が大きくなるので、それまでは4~5人を集団だと思ってきた子が、初めての環境にポンと放り込まれて大勢の知らない子たちと過ごすことになります。

そうなったとき、子どもが困らないようにしてあげたい。誰かにきちんと助けを求められるように、思いを伝えられるように。卒園を控えた2歳児クラスの子たちへの接し方では、そこを普段から意識しています。

もじもじしている子がいたら「どうしたの? 助けてほしいことはある?」と声をかけて自分の言葉で話せるように促しますし、「手伝ってほしいときは『手伝って』って言うんだよ」と伝えたりするようにしています。自分で考え、行動する基礎をしっかりつくって送り出してあげたい。卒園後にどこへ行っても、元気に自分らしく過ごせるようにという思いで向き合っています。

一人ひとりの気持ちに細やかに寄り添えるのは、小規模園だからこそのよさですね。

あとはやっぱり、自然の中で過ごす楽しさも伝えていきたいですね。今の園は、駅ビルの中にありますが近くには意外と公園が多いので散歩でダンゴムシやカタツムリを見つけたり、姉妹園の屋上にある畑で土にふれたりと、外遊びに力を入れています。0歳児でも外の空気にふれることが刺激になりますから。近くの川まで2キロほどお散歩して、焚き火で焼き芋をつくったり、火起こし体験もしたりしています。

楽しい思い出をたくさん積み重ねることで、いつでもここが「ただいま」と戻って来られる場所になったら嬉しいですね。

最後に、これから保育の世界へ進もうと考えている後輩たちにメッセージをお願いします。

保育の世界ってすごく楽しいですよ。もちろん大変なこともありますが、子どもといればすべてが楽しくなる。そんな瞬間がたくさん訪れるはずです。保育でなにを大切にしたいか、どんな思いで子どもと接していきたいかを、自分の言葉できちんと語れる保育者がもっと増えたら、保育の世界はいい方向へと変わっていく気がします。

早坂先生が働いている園
施設名:エスパルキッズ保育園
形態:小規模保育園(20名)
設立:2016年
所在地:宮城県仙台市青葉区中央1-1-1

※2025年12月12日時点の情報です

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