園長会とは?|種類や活動内容を紹介します

となりの園長会 保育

園の運営を担う園長の役割は、人材育成、資金管理、安全対策、保護者対応、地域や行政との連携など、多岐にわたります。こうした中で、園長同士がつながり、情報共有や学び合いを実現する組織として、園長会が重要な役割を果たしています。

本記事では、園長会の種類や活動内容、現場の声に基づいた課題についてご紹介します。

園長会とは? ~目的と活動の概要~

「園長会」とは、保育園や認定こども園、幼稚園などの園長が集まり、保育の質の向上共通課題の解決を目指して活動する、自主的な団体です。

行政からの連絡や研修、情報交換を通じて、行政への提言や地域との連携にも取り組み、子どもたちの健やかな育ちを支えるために、園長同士が学び合い、協力し合うことを目的としています。

園長会の種類

園長会には、組織の規模や運営主体によってさまざまな形態があります。
以下は地域別での園長会の一例です。

全国単位の団体
例:全国私立保育連盟日本保育協会全国保育協議会全日本私立幼稚園連合会全国認定こども園協会
→ 国への要望書提出、保育政策の検討、保育政策の提言、大規模研修、調査・研究などを実施

都道府県単位の団体
→ 都道府県との連携、要望の集約と要望提出、調査活動、情報交換、研修などを実施

市区町村単位の団体
→ 市区町村との連携、要望の集約と要望提出、地域に密着した情報交換、研修、地域イベントなどを実施

園長会の主な活動内容

園長会の活動は、園長を含め多くの保育者が抱えるさまざまな悩みや課題に寄り添い、保育の質を高めるために行われています。その活動内容は多岐にわたり、園長会によって取り扱う内容は異なりますが、大きく以下の5つに分けられます。

現場と行政をつなぐ「行政との連携・政策提言」

園長会は行政機関との連携や政策提言の場になっています。

新たな政策や自治体の情報を園長へ伝えるという重要な役割を担っています。
また、保育士不足への対応や、保育制度に関する要望活動、そのほか説明会の開催などを通じて、現場の声を行政へ届ける役割も担っています。こうした活動を通じて、保育の現場に必要な支援や制度づくりに貢献しています。

園長や職員の専門性を高める「研修」

園長会が力を入れている取り組みのひとつが、園長や職員の専門性を高めるための研修です。

・保育政策の最新動向や法改正
・リーダーシップ
・リスクマネジメント
・働きやすい環境づくり
・保育のおもしろさ・働きがいづくり
・ICT活用
・労務管理
・継続的に子どもの環境を向上させるためのお金の管理
など、園運営に欠かせないテーマが取り上げられています。
また、制度変更の解説など、時事的な問題への対応についても議題になることがあります。

これらの研修は、園長自身が学び続けるだけでなく、職員全体のスキルアップにもつながる内容になっていることが特徴です。

園長同士の学び合いと支え合い「情報交換・ネットワーク構築」

園長会は情報交換や園長同士でつながる場としても、重要な役割を果たしています。
園長職は責任が重く、悩みをひとりで抱え込みやすい仕事です。しかし、園長会では「同じ悩みを持つのは自分だけではない」と気づき、安心して相談できます。定期的な会合や勉強会を通じて、現場のリアルな声を共有し合い、園長同士のつながりを深められる場になっています。

より良い保育を目指す「調査・研究」

園長会の活動のひとつとして、保育内容や運営についての調査・研究を行い、質の向上を目指す取り組みも積極的に行われています。
実態調査や優れた実践事例の共有、研究成果を生かした改善活動などがその一例です。こうした取り組みは、より良い保育環境をつくるための土台となっています。

子どもたちを地域で育てる「関係団体・地域社会との連携」

加えて、園長会は保育士養成校や他の福祉・教育関連団体、地域社会との連携も大切にしています。
小学校との接続(幼保小連携)や、地域イベントへの参加、保護者向け講座の実施など、園を取り巻くさまざまな関係者と協力しながら、子どもたちの育ちを支えるための活動を続けています。

このように、園長会は単なる会議の場にとどまらず、園長同士が学び合い、支え合い、そして社会に働きかけるための大切なプラットフォームになっていると言えます。

種別による特徴・傾向

また、施設種別や施設を設置している主体によって、園長会の内容に特徴があることもあります。
以下に一例を記載します。

公立と私立の違い

公立園の園長は多くの場合、公務員として任用されています。園長会では、行政との連携がより重視される傾向にあり、行政が主導する保育事業についても公立園が中心となって活動するという自治体もあります。公立園では均質な保育を提供するという点も重要な観点となっており、同じ自治体の公立園同士で保育内容などを相談しながら質を揃えていくことも重視されています。

私立園は、社会福祉法人・学校法人・株式会社など、多様な設置主体によって運営されており、園ごとの運営スタイルもさまざまです。園長会では、経営や人材確保、法人運営に関する情報交換や研修が多く扱われる傾向があります。また、市区町村によっては、公立・私立の園が合同で園長会を組織する例もあります。こうした地域では、立場の違いを越えて、共通の課題に取り組む協働の場となっています。

教育と保育の両面を担う認定こども園の場合

教育と保育の両立に対応する必要があります。園長会では、職員体制やカリキュラム、制度の理解・運用に関する課題が話題となりやすい傾向にあります。

園長会でよくある課題

2025年3月にコドモンで実施したアンケート調査では、園長会の運営に関する課題として「会議の活性化」がもっとも多く挙げられました。特に「経験の長い園長の前では意見や質問がしづらい」といった声があり、園長会における「対話のしづらさ」などが課題として浮き彫りになっています。


園長会調査レポートはこちら

こうした課題を受け、コドモンでは全国の園長会に取材を行い、活動内容をまとめた「となりの園長会」という企画を行っています。園長会の具体的な事例をまとめていますので、ぜひご覧ください。
となりの園長会企画はこちら

おわりに

園長会は、保育園や認定こども園、幼稚園などの園長同士が集い、保育の質の向上や共通課題の解決に取り組む自主的な組織です。園長として求められる専門性を高め、行政や地域社会と連携しながら、現場の声を生かした活動を展開しています。
コドモンでは、今後も園長会に関する事例や調査レポートの発信を通じ、より良い園長会運営のための情報をお届けしてまいります。

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