長岡市教育委員会 子ども未来部 保育課 (新潟県長岡市)
施設種別 自治体・公立施設
サービス 登降園管理請求管理保護者連絡帳票作成保育ドキュメンテーション保育研修
この事例の要約
「教育こそが最終的には地域を繁栄させ、人々の生活をよくする」という信念のもと、「米百俵」の精神をまちづくりの原点とする新潟県長岡市。コロナ禍の令和3年に保護者コミュニケーションを目的としてコドモンの運用をスタート。その翌年には、端末の拡充やより活用機能を広げるためにパックプラン利用に踏み切るなど園の運営を劇的に変化させました。コロナ禍での非接触環境下の保護者コミュニケーション対策にとどまらず、保育士の労務環境や業務改善に取り組まれている長岡市 教育委員会子ども未来部 保育課 (写真左から)保育運営係長の河崎敏則さま、同課 主査の渡辺雄亮さま、総括副主幹 山田知子さまにお話をうかがいました。
山田さま:「熱中!感動!夢づくり教育」 を掲げて20年目を迎えます。「夢を抱き、志を立てて生き抜く力を育む」教育方針で、4つの方策で子どものやる気や学ぶ意欲を引き出す取り組みを行っています。
河崎さま:ありがたいことに、保育施策においては、日本経済新聞社等の調査で、各保育園との相談体制や園長・保育士向けの多様な研修などが評価され、保育の質分野において、全国ナンバー1に選ばれました(※)。コロナ禍における園の取り組みなどの情報発信や保護者との密なコミュニケーション、保育士が本来の業務である保育に注力できる環境の整備のため実施した、コドモンを活用した業務のICT化による効果が表れた一面とも感じています。
渡辺さま:やはり一番目に見えて変わっているところは欠席連絡と登降園管理です。保護者との電話が当たり前だったのが、ほとんどなくなり、朝の業務を劇的に変えました。
山田さま:現場の実感としても本当に劇的に変わったと思います。これまでパソコンに触っていない保育士がほとんどでしたので最初は大変だったんですが、若い保育士はすぐ使えるようになりましたし、保護者も抵抗なく受け入れてくれました。災害時の連絡も「お知らせ一斉配信」を利用して読んでもらえたのかまでチェックできるようになりましたし、延長保育料の計算もすごく楽になりました。こういった様々な保育以外の時間が圧縮された結果、職員同士の語り合いの時間が増えたと思います。10分でも15分でもノンコンタクトタイムが生まれて、ドキュメンテーションの写真を囲んで今日の保育はこうだったね、あの子はこんなところに育ちがあったね、といった子どもを真ん中に置いた職員の語り合いが増えると保育が様々な角度から見えてきます。ICT化によって圧縮される効果を「一日あたりに削減された時間」という数字だけでみてしまうとわかりにくいのですが、このわずかな時間を語り合う時間に充てられることはものすごく大事です。
「職員同士の語り合いの時間が増えた」総括副主幹の山田さま
山田さま:日々ICTツールに触れる時間ができたことで、Web研修が身近になりました。コロナ禍を境にWeb研修も充実してきましたので、勤務場所にいながら保育を学び合う機会がすごく増えましたし、大勢で同じ研修を共有できるようになったのは大きな変化です。Webでつながると、他の市町村や著名な大学ともつながることができて本当にありがたいです。コドモンカレッジも利用しています。
河崎さま:令和2年コロナ禍の始まりとともに保護者との円滑なコミュニケーションの実現が急務となったのが導入のきっかけです。令和3年にコドモンの基本機能を導入、翌年にパックプランへアップグレードしました。
渡辺さま:長岡市の場合、もともと、保育士不足解消に向けた保育士の働き方や待遇、業務の改善が課題として挙げられていましたので、コロナ禍におけるコミュニケーション対策はコドモン導入の通過点でした。いま振り返ってみると、コロナ禍はICT化が進んだ大きな転換点でした。国内全体でテレワークも含めて非接触で従来の業務を成り立たせるという必要性に迫られていましたので、今やるべきという決断に追い風が吹いていました。
図:長岡市のコドモン活用と労務環境・業務改善推進の歩み ※Rは令和年号を示します
河崎さま:利用拡大を進めるには、端末がないと十分に恩恵を受けられないと考えました。そこで端末の配備数を、園に数台の状態から「正規職員一人に対して1台」へ整えることを目標にしました。パックプランにしたときに、厚生労働省の補助金を活用して端末の拡充も一緒に進めました。しかしまだ十分ではないので、現在も次年度に向けて端末の増設が必要と考えています。
予算調達で求められる「費用対効果」の算出には定量的なデータと現場の先生の声の両方を重視しました。定量的には、保育士の業務が多い実態、そこに対してツール導入により圧縮される時間を現場の状況を確認しながら進めました。さらに指導担当保育士の山田のような、園長経験者ともよく相談しながら現場の声を吸い上げ、現場に負担がかからないよう段階的に進めていくことを大切にしました。
「現場の声を吸い上げることが大事」保育運営係長の河崎さま
渡辺さま:みなさんの頑張りがあって、今はコドモンが保育園運営の軸になってきています。その分、使いたい人が常に使える環境がないと、これ以上の発展は得られないという現場の声が聞こえています。ネットワーク環境整備と端末を要求する声がなくなってようやく整備ができたと言えると思っており、まだまだ道の途中です。今後も、いずれ必要になる端末の入れ替え予算も見据えて計画的に拡充していきたいと思っています。
渡辺さま:現場からすると、今まで慣れてうまく回っていたやり方を変えるのは抵抗があると思い、コドモンに置き換えるとどう変わるのか、どんな効果があるのかを、伝えていくことに力を注ぎました。例えば帳票間で連動して転記をなくせるなど、導入後になくせる業務を伝えることや、保育ドキュメンテーションを活用すれば、保育の質や職員のスキル向上、保護者にも子どもの育ちをつぶさに伝えられる、など先生方が本来求める保育の姿が実現できることを伝えていきました。実際の運用方法も徹底的に考えて、なるべく手間にならないよう相談しながら進めました。
長岡市には、「保育事業研究会」という公立園30園の園長先生の代表が集まる任意の自主的な会議で、定期的に園の課題などを話し合うための検討会があります。研究会と協議をして、やりたいことの概要を伝えながら保育課主導で導入を進めました。賛同が得られれば毎月行われる全園長が集まる園長会議で説明と協力をお願いし、各園に落としこむ体制で取り組みました。
システムを使えば園の環境を良くしたり、保護者の満足度を上げることができるのに、保育士のみなさんは、日々目の前にいる子どもたちや園の運営に注力しているので、外を見る余裕はありません。そのため、ICT化の旗振りは保育課の役割だと思っています。
「みんなの理解を得るための旗振りは保育課の役割」保育課主査の渡辺さま
渡辺さま:若手保育士が集まるICT研究会のような仕組みを作って、各園でICT化のリーダーが生まれる体制を整えるとよいと思います。担当として熱意を持って自ら勉強してICT化を推進していきましたが、質問などが一極集中してしまったのは反省点でもあります。担当と近い目線で話せる先生方が多ければ、対応もしやすくなりますし、保育課のレスポンスが早ければ園にとっても運営がスムーズになります。最初に若手を巻き込んだリーダーの育成に取り掛かり、導入後の担当の負担を軽減することが結果的にはスムーズな運営につながると思います。
山田さま:保育課は施設の運営をジャッジをする視点ではなく、園の伴走者として一緒に課題を解決していく方向を考える、というところを強く意識しています。
渡辺さま:例えば端末が無ければコドモンを入れた価値を十分に発揮できないと思っていますので、まだまだ道半ばだと認識しています。これからも園の声に寄り添って、保育課ができることを推進していきたいと思います。
河崎さま:改めて、保育現場のICT化を進めたことで、今まで保育以外にかけていた時間が少しでも削減できて、研修も含めて保育に向き合う時間が増えたということは、やはり質の向上につながっているんだな、と実感しますね。
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