「保護者の方に、施設での子どもの様子がうまく伝わらない…」 「まだ子どもの特性を受け入れられていない保護者の方に、どう接すればいいのだろう?」
保育園やこども園、児童発達支援や放課後等デイサービス、学童クラブの現場で、このようなお悩みをお持ちの施設長や職員の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、渋谷区子ども発達相談センター チーフアドバイザー / 公認心理師 市川 奈緒子先生の知見をもとに、発達特性のある子どもの保護者を支えるための「3つの視点」をご紹介します。
まず1つめのポイントは、親子関係を「親から子どもへの一方通行」ではなく、「相互交流」という視点で捉え直すことです。
親子関係は、保護者の働きかけに対して子どもがどう応じるか(笑顔を返す、真似をするなど)のキャッチボールによって自然に形づくられます。しかし、発達特性があると、この「相互交流」が成立しにくい状況が生まれやすいのです。
これらは特性ゆえの難しさであり、保護者の愛情不足や育て方の問題でも、もちろん子どものせいでもありません。この視点を持つことで、「親がもっと頑張れば…」という誤解から距離を置き、特性ゆえのすれ違いを前提にした支援が可能になります。
保護者が子どもの障がいや特性を認めるまでのプロセスを「障害受容」と呼びます。これが進まないように見えると、現場としてはもどかしく感じることもあるかもしれません。
しかし、保護者が子どもの特性をすぐに受け止められないのは、性格や努力の問題ではありません。背景には、社会全体の障がいに対する「壁」の存在があります。
日本社会には、障がいに対して「ない方がいいもの」とする偏見が存在します。そのため、「この子を障がい児にしたくない」という思いが湧くのは自然なことです。さらに、周囲からの誤解や批判によって、保護者自身が「二次的な傷つき」を深く負っているケースも少なくありません。
「うちでは困っていません」「先生の対応が悪いのではないでしょうか」といった保護者の態度は、決して支援者への攻撃や拒絶ではなく、これ以上自分と子どもが傷つかないよう必死に守るための「ガード(防衛反応)」なのです。
支援者がこの背景を理解し、無理にガードを剥がそうとするのではなく、「そうせざるを得ないほどの傷つき」に気づくことが、本当の理解への第一歩となります。
支援者に見えている保護者の姿は、ほんの「氷山の一角」かもしれません。
保護者とのコミュニケーションで最も大切なのは、相手に「分かってもらおう」とする前に、まずこちらが「保護者を分かろう」とすることです。
こうした想像力を働かせることで、保護者への「尊敬」と「労い」の気持ちが自然と湧いてくるはずです。
専門家として「もっとこうしたほうがいい」とアドバイスをしたくなる場面もあるかもしれません。しかし、ガードを張っている保護者が本当に求めているのは、正しい指導ではなく「自分たちを否定せず、一緒に考えてくれる味方」です。
「私たちはあなたの味方です」という安心の土台があってはじめて、保護者は胸の内を話し、専門的な助言を受け取る準備が整うのです。
発達特性のある子どもの保護者を支えるためには、こうした「視点の持ち方」が大きな力になります。保護者の見えない想いに丁寧に耳を傾け、心からの味方として寄り添うことで、少しずつ信頼が深まっていくはずです。
とはいえ、実際の支援現場では「具体的にどんな言葉をかけるのが正解なのか」「スタッフ間でどう共通認識を持てばいいのか」と、迷う場面も少なくないのではないでしょうか。
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