【令和7年度補正予算】保育所運営への影響と4つのポイント

政策解説 保育

令和7年度(2025年度)の補正予算案が成立し、保育所運営に関わる施策が明らかになりました。 こども家庭庁の補正予算総額は6,479億円となり、令和6年度の4,335億円と比較して約1.5倍の規模となっています。

増額の主な要因は子育て世帯への現金給付(物価高対応子育て応援手当)ですが、一方で、保育現場の運営に関わる「処遇改善」「物価高騰対策」「システム化(DX)」についても、予算が計上されています。

本記事では、膨大な予算資料の中から、今後の施設運営において特に重要となる4つのポイントを整理します。

ポイント①:保育士等の処遇改善(人件費の引き上げ)

職員の定着と採用競争力の維持に関わる「処遇改善」について、継続的な実施が決定しています。

  • 令和6年度の実績: プラス10.7%
  • 令和7年度の予定: プラス5.3%

今回の引き上げ幅は、令和7年の人事院勧告(国家公務員の給与改定)に準拠したものです。昨年度の大幅な引き上げに続き、全産業平均との賃金格差是正に向け、国として継続的な改善を図る姿勢が示されています。

ポイント②:物価高騰への緊急支援(運営継続支援臨時加算(仮称))

光熱費や食材料費の高騰が経営を圧迫する中、質の高い食事や保育環境を維持するための直接的な支援として、「運営継続支援臨時加算(仮称)」が新設されます。これは令和7年度限りの措置となります。

▼ 加算見込額(年額)

  • 保育所・認定こども園・幼稚園(新制度に移行している園に限る): 1施設あたり 10万円
  • 小規模保育事業所・事業所内保育事業所: 1事業所あたり 5万円

運営費の一部を補助する支援ですので、自治体からの通知を確認し、早めの申請の検討をおすすめします。

ポイント③:業務負担軽減とDX(自治体連携への備え)

3つ目のポイントは、今後の園運営に不可欠な「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の動向です。 今回の補正予算では、「保育業務施設管理プラットフォーム」や「保活情報連携基盤」の機能改修に予算が充てられています。

保育業務施設管理プラットフォーム概要図
保育業務施設管理プラットフォーム概要図

園で使用している「保育ICTシステム」と「自治体のシステム」を、国のプラットフォームがつなぐ仕組みです。 これにより、園児の登降園記録や職員情報などのデータが自動で自治体へ連携されます。これまで「給付費の請求」や「監査書類」のために行っていた手書き・転記作業が不要になり、1回の入力で手続きが完了します。

保活情報連携基盤概要図
保活情報連携基盤概要図

保護者が行う「園探し」から「見学予約」までの一連の流れを、デジタルでつなぐ国の基盤システムです。 この基盤を通じて、保護者はスマホなどから園の検索や見学予約が可能になります。施設側は、園見学の日程調整などがシステム上で完結するため、対応業務が省力化されます。

令和6年度からの変化:導入から「連携・活用」へ

これまでのDX推進は、機器の導入や単体のシステム活用が中心でしたが、令和7年度はさらに一歩進んだフェーズに入ります。

  • データ連携基盤の整備(ワンスオンリー化):単なるデジタル化だけでなく、国全体でデータを連携させる基盤整備が本格化します。
  • ロールモデルの創出保育ICTラボ事業を通じ、先進的なICT活用事例をつくり出し、そのノウハウを横展開する取り組みが始まります。これにより、運用の質を高める支援が強化されます。

今までもこれらの施策はありましたが、よりシステム同士の連携・応用的な活用が重要になってきていると言えます。

国が目指す「ワンスオンリー」の実現

国は現在、保育所・自治体・保護者をデータで繋ぎ、給付や監査、入所手続きなどの業務において「一度提出した情報は二度提出しなくて済む(ワンスオンリー)」仕組みの構築を進めています。 これは、将来的に行政手続きの多くがデジタルデータでのやり取りに移行することを意味します。

中長期的な視点でのICT導入

現在のICT導入に対する補助金も継続して措置されています。 「業務省力化」という観点に加え、将来的な「自治体システムとの円滑な連携」を見据えた基盤整備として、今のうちから標準的なICTシステムの導入・活用を進めておくことが、中長期的な事務負担の軽減につながります。

ポイント④:子どもの安全・安心(日本版DBSと安全対策)

最後に、子どもの安全確保に関する施策について紹介します。

1. 日本版DBS(こども性暴力防止法)の施行準備

子どもと接する業務従事者について、性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」のシステム開発などに30億円が計上されました。 制度の施行に向けた実務的な準備が本格化します。採用フローや労務管理における確認手順が変更となる可能性があるため、今後の制度設計や運用ルールの動向を注視する必要があります。

2. 安全対策への補助

園内の死角解消のためのカメラ設置や、パーテーション、センサーなどの導入費用に対する補助も継続されます。

  • 補助基準額: 1施設あたり 10万円以内

子どもの安全確保に向け、ハード面での対策も重要視されています。小規模な改修や備品購入の際はこのような制度もご検討ください。

短期・中長期両面での環境整備を

令和7年度の補正予算は、物価高騰への「緊急対応」と、システム連携やDBSといった「将来の基盤整備」の両面から構成されています。
制度変更のタイミングは、園の運営体制を見直す機会でもあると思います。 本記事を補助金などの情報収集にお役立ていただけますと幸いです。

参照:
令和6年度こども家庭庁補正予算の施策集
令和7年度こども家庭庁補正予算案主要施策集
令和7年度こども家庭庁補正予算案(参考資料)

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