〈ペーパーレス監査についてのアンケート〉 きっかけは「自治体側から問題ないと言われた」が半数以上 一方、希望施設9割超に対して実施率は約6割という課題も

調査レポート

株式会社コドモンは、保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」を利用中の全国の保育施設等を対象に、監査(立入調査)におけるDX状況(書類での監査ではなく、ICTシステムの画面確認でのペーパーレス監査)についてのアンケートを実施しましたので、調査結果をお知らせいたします(昨年のレポートはこちらからどうぞ)。

アンケート概要

・調査対象:コドモンを利用する全国の保育施設
・調査方法:メール案内、WEB回答方式
・調査期間:2025年3月31日(月) 〜5月22日(金)
・回答数:364件
・調査会社:株式会社コドモン

アンケート結果サマリー

*95.7%の施設がペーパーレス監査を希望。約6割の施設がペーパーレス監査を受けたことがあると回答し、実施率は横ばいという結果に。

*書面・リモートによる監査の制度は始まって1年以上が経過するも、「知らなかった」と回答した施設が79.1%と依然多数を占め、現場への周知が課題に。

*ペーパーレス監査のきっかけは「自治体側から問題ないと言われた」施設が55.2%で、前年から9.2ポイント増。

*監査がペーパーレス化することで「保育の質に影響があるか否か」については意見が分かれ、「特に影響はない」52.7%、「影響がある」47.3%と拮抗する結果に。

*実地監査は「自治体職員が施設に足を運ぶ」形式が86.5%と依然多数を占め、書面・リモートでの監査は5.8%にとどまった。

アンケート結果

ペーパーレス監査を希望する施設は9割超、全面的なデジタル化志向が継続

Q1 監査を受ける際に、ペーパーレス監査〈デジタル(画面)確認での監査〉を希望されますか?

今年度は、全体の93.9%の施設がペーパーレス監査を希望しているという結果となりました。「全部をデジタル(画面)で」と回答した施設が44.2%、「一部をデジタル(画面)で」が49.7%と、いずれも高い割合を占めています。一方で、「書類での監査を希望する」と回答したのはわずか6.0%にとどまりました。

「Q1」でその回答を選んだ理由を教えて下さい。

<全部デジタル監査して欲しい>
● 「紛失のリスクが低く、検索性も優れているため」
●「 ペーパーレス化を進めているため、監査対応のためだけに印刷を行うことに違和感を覚えるため」
● 「書類の保管場所の削減、資料の共有がしやすい」

<一部デジタル監査して欲しい>
●「 書類によっては紙で管理しているものもあるため、デジタルと紙を併用する形が望ましい」
● 「市から指定の書類があり、提出義務があるから」
●「 まずは一部から行い、のちのち全部をペーパーレスに出来れば」

<紙での監査を希望する>
● 「紙ベースの書類を提出する必要があるため」
● 「部外者に自園の端末を渡して操作させるのはコンプラ的に難しい」

ペーパーレス監査の実施は約6割。実施希望率とは大きく乖離

Q2 書類提示ではなく、コドモンの画面確認で監査を受けた(一部でも可)ことがありますか?

58.0%の施設が、書類提示ではなくコドモンの画面確認で監査を受けたことがあると回答しました。昨年度の61.2%から3.3ポイント減少しており、ペーパーレス監査の普及にやや停滞が見られます。なお、Q1では93.9%の施設がペーパーレス監査を希望していることから、実際の運用との間にギャップがある状況がうかがえます。

自治体からの働きかけが増加。監査担当者の了承により実現したケースが最多

Q3 監査をコドモンの画面で受けることができたきっかけを教えて下さい

「監査担当者から問題ないと言われた」が44.8%と最多で、続いて「施設側から監査担当者に打診したらOKが出た」が33.2%でした。「行政担当から問題ないと言われた」も10.4%となりました。
昨年度と比較すると、自治体側(監査担当者+行政担当)から問題ないと言われた施設が55.2%と、前年の46.0%から9.2ポイント増加。自治体からペーパーレス監査の働きかけが行われるケースが増えていることがわかります。

導入のピークは2023〜2024年度、今後の広がりに期待

Q4 コドモンの画面での監査が可能となったのは何年前からでしょうか?

「2024年度から」「2023年度から」と回答した施設が合わせて61.7%と過半数を占めており、直近2年間でペーパーレス監査が一気に広がったことがわかります。特に、前問で「監査担当者から問題ないと言われた」「施設側から打診してOKが出た」といった回答が多かったことからも、自治体と施設の双方でペーパーレス監査への対応が進んでいることがうかがえます。

約7割が事前準備の負担軽減を実感、デジタル化の効果が明確に

Q5 監査対応への事前準備の負担は減りましたか?

ペーパーレス監査の普及により、「事前準備の負担が減った」と回答した施設は71.6%にのぼりました。昨年度の66.4%から5.2ポイント増加しており、デジタル化による効率化がさらに進んでいることがわかります。一方で「変わらない」とする声も一定数あり、すべての施設で負担軽減が実感できているわけではない点も引き続き注視する必要がありそうです。

大多数が「部分的に対応」、全面的なデジタル化も着実に増加

Q6 監査の対象がコドモンの画面でOKとなったのは、部分的にですか?すべてですか?

「部分的にOK」が74.4%と昨年に引き続き多数を占めており、紙の書類と画面を併用した監査が主流であることがわかります。一方、「すべて」画面で対応できたとする施設も25.6%となり、全面的なデジタル対応が可能な自治体や施設も着実に増えていることが読み取れます。

<Q 「すべて」と回答した方におうかがいします>
【書類監査との違い】紙での監査と比べてよかった点、困った点は何ですか?

<よかった点>
・「登降園管理や午睡チェックなど数字化できるものは、指定された日時がすぐ提示出来た点」
・「書類の置き場所が不要になった。ペーパーレスになり紙の節約ができた」
・「必要書類を物理的に準備しなくて良いので省スペースで作業が出来てとても良かった」

<困った点>
・「すぐに指定の日を閲覧できるのはよかったが、ネット環境により待ち時間が生じることもあった」
・「行政の方が不慣れで作業をこちらがしたり説明が必要になった」
・「タブレット端末やPCの台数が少ないので監査使用分があると保育使用分が足りなくなる」

実地による監査が9割近くを占め、リモート監査は依然少数派

Q7 2024年度において自治体による指導監査は行われましたか?

2024年度における監査実施形態について、「自治体職員が施設に足を運んで行われた(行われる予定)」が86.5%と多数を占めました。昨年度同様、書面やリモートでの監査実施はわずか5.8%にとどまり、依然として対面での実地監査が主流である実態が明らかになりました。

監査時間について約6割が「変わらない」と回答も、約4割で時間短縮の傾向

Q8 監査当日の対応時間(監査に要した時間)に変化はありましたか?

「変わらない」が61.1%ともっとも多くを占めましたが、「短くなった」と感じている施設も37.4%と、昨年度より約9ポイント増加しています。ペーパーレス化の進展が一部の施設で監査当日の所要時間にも好影響を与えている様子がうかがえます。一方で、ペーパーレスといっても8割以上の施設では「対面での画面確認」というスタイルが主流であることから、全体としてまだ大きな変化が現れているとは言えず、今後のさらなる効率化が期待されます。

書面・リモート監査の制度、現場への周知が不十分

Q9 2023年度から、自治体による指導監査が書面やリモートでも可能になったことを知っていましたか?

「知らなかった」と回答した施設が79.1%と多数を占めました。昨年度と同様に、制度の存在自体が現場まで十分に周知されていない実態が浮かび上がっており、制度を浸透させるうえで課題が見受けられます。

実地検査の有無と保育の質、現場の受け止め方は賛否分かれる

Q10 自治体職員が施設に足を運んで実地検査を行わないことは、保育の質に影響すると思いますか?

「保育の質に特に影響はない」と回答した施設が52.7%とやや多数派となりましたが、「影響がある」と答えた施設も47.3%と拮抗しており、現場での受け止め方は大きく分かれています。

<Q 前問に回答した理由を教えてください>
「保育に関して特に指摘された事がない」「実際の保育現場を確認されない」といった声がある一方で、「第三者的な視点は必要不可欠」「実際の現場を見て欲しい」といった現場側からの実地検査を希望する声も多いことがわかりました。

<保育の質に特に影響はないと思う>
・「来られて実際の保育現場を確認される訳でもないので、必要ないと思う」
・「必要な書類を日々記録していくことには変わりがないため」
・「年1回の監査と通常の保育活動の向上はさほど結びつかない」
・「足を運んで現場を見る時間は短く、ほとんどが書類確認だった為」
・「自治体職員の方が抜き打ちで見に来られるので、現地の状況はそこで把握できるのでそれで良いと思う」

<保育の質によくない影響があると思う>
・「保育室の環境や、園児の様子などは実地検査でないと分からないため」
・「保育は紙の上で行われているわけではないから」
・「実際の現場を見て欲しい。必要があれば指導を受けたい」
・「第三者的な視点は必要不可欠であり、実際に現地でしか感じない園の雰囲気などもあるため」
・「書類などは確認できるが、不適切な保育や施設内の様子は確認できないと思う」
・「現場の状況を把握したうえで実地検査をおこなうのであれば保育の質が関係してくると思う」

監査の実施時期は秋から冬にかけて集中するが、一定のばらつきも

Q11 直近の監査が実施された時期をお答えください。

最多は11月(12.4%)、次いで10月(11.8%)、8月(11.5%)と続きました。夏から冬にかけて監査が実施された施設が多い一方で、自治体によって時期のばらつきがみられます。

監査時期は「例年通り」が過半数、スケジュールには柔軟性が見られる

Q12 監査の実施時期は例年通りでしたでしょうか?

「例年通りだった」が63.5%と過半数を占めた一方で、「例年より早かった」「遅かった」と答えた施設の合計が約3割となるなど、必ずしも一定のスケジュールで行われているわけではないことがわかります。

データの引用について

本調査結果データを一部引用・二次利用等される場合は、「株式会社コドモン調べ」と表記の上、リンクのご協力をお願いいたします。
リンク先:https://www.codmon.com/column/report_10/
その他ご不明点や調査に関する詳細は、下記よりお問い合わせください。

株式会社コドモン 会社概要

◆所在地:東京都品川区西五反田八丁目4番13号 五反田JPビルディング10階
◆資本金:68,250,000円
◆代表者:代表取締役 小池義則
◆WEB:https://www.codmon.co.jp/
◆事業内容:子どもを取り巻く環境をより良くするための事業を手掛け、働く人にとっても働きやすい組織づくりを体現。子育てに優しい社会に変わるよう多角的に環境整備を行い、社会に貢献する。
◎こども施設職員の労働環境を整え、保育・教育の質向上を支える子育てインフラとしての保育ICTシステム「コドモン」の開発・提供。2025年2月時点で、全国約21,000施設、職員約43万人が利用。全国632の自治体で導入および実証実験の導入が決定。導入施設数・自治体導入施設数・契約自治体数でシェア1位※(2025年1月株式会社東京商工リサーチ調べ)。

◎保活中の保護者や求職者と保育・教育施設をつなげる採用・園児募集支援サービス「ホイシル」の提供。こども施設が簡単に施設の魅力を発信でき、地域の保護者や求職者、保育学生はより自分にあった園を探せる。その他、こども施設を対象とした専門のECサイト「コドモンストア」、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的としたオンライン研修サービス「コドモンカレッジ」、こども施設職員への福利厚生サービス「せんせいプライム」などを展開。

お問い合わせ先

本件に関するお問い合わせは、下記までお願い申し上げます。
Mail: inquiry@codmon.com
Tel: 050-2018-3196(平日9:00-18:00)
※株式会社コドモン以外の販売元と契約されている施設は販売元までお問い合わせください。

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