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こども性暴力防止法とは?制度の概要から施行前の準備までわかりやすく解説

政策解説 保育

令和8年12月に施行される「こども性暴力防止法」は、保育・教育施設などに対し、従事者の性犯罪歴確認(日本版DBS)のほか、研修の実施や相談体制の整備、情報管理などを求める法律です。施行はまだ先ですが、事業者に求められる準備はすでに始まっています。本記事では、制度の概要と対象施設、施行前に対応しておきたい準備事項をわかりやすく解説します。

こども性暴力防止法とは何か

法律の概要と目的

「こども性暴力防止法」の正式名称は、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年法律第69号)です。

子どもに接する職場において、性犯罪歴のある者が従事することを防ぎ、子どもたちの安全を守ることが、この法律の根本の目的です。法律は令和6年(2024年)6月19日に成立・26日に公布されました。施行日は令和8年(2026年)12月25日です。

「日本版DBS」との関係

この法律は「日本版DBS」とも呼ばれます。DBSとは、イギリスの「Disclosure and Barring Service(開示・前歴照会機関)」の略称で、教育・保育など子どもに関わる職業に就く人の犯罪歴を確認する仕組みです。「日本版DBS」は、この考え方を参考に、日本でも性犯罪前科の照会制度を導入したことから付けられた通称です。

ただし、「日本版DBS」は、こども性暴力防止法に定められた犯罪事実確認(性犯罪前科の照会)の仕組みを指すもので、法律全体を意味するものではありません。 こども性暴力防止法では、犯罪事実確認に加え、職員への研修の実施や相談体制の整備、子ども・保護者への周知など、性暴力を未然に防ぐための幅広い取り組みが事業者に求められています。

「こども性暴力防止法」対象施設の範囲

法律では事業者を2つに分類しています。

義務対象事業者(学校設置者等)

法に定める取り組みを必ず実施しなければならない事業者です。認可保育所、幼稚園、認定こども園、小中高等学校、特別支援学校、児童発達支援センター、放課後等デイサービスなどが含まれます。

認定対象事業者(民間教育保育等事業者)

事業者からの申請により、国から認定を受けることで制度の対象となります。学童保育(放課後児童クラブ)、学習塾、スポーツクラブ、芸能事務所など、子ども向けの教育・保育サービスを提供する民間事業のうち、一定の要件を満たすものが幅広く対象です。 認定申請の手続きは、施行日に向けて順次案内される予定です。

また、対象となる「従事者」の範囲も広く設定されています。教員・保育士など常にこどもと接する職種は一律対象です。事務職員や送迎バスの運転手など直接的な保育・教育以外の職種については、こどもと接する業務に該当するかどうかを施設責任者が判断します。雇用形態(正規・非正規・ボランティア)は問いません。

参考:こども家庭庁┃こども性暴力防止法(制度概要)

対象となる性犯罪とは

犯罪事実の確認対象となる性犯罪は、法律上「特定性犯罪」として定義されています。犯罪歴は実刑だけでなく、執行猶予や罰金刑も確認対象に含まれる点に注意が必要です。該当する主な犯罪類型は以下のとおりです。

  1. 刑法における罪
    不同意わいせつ・不同意性交等・監護者わいせつ等およびその未遂
  2. 盗犯等の防止及び処分に関する法律における罪
    常習として強盗・不同意性交等を行う罪
  3. 児童福祉法における罪 ─ 児童に淫行をさせる行為(児童淫行)
  4. 児童ポルノ法における罪
    児童買春・周旋・勧誘、児童ポルノの製造・所持・提供等
  5. 性的姿態撮影等処罰法における罪
    盗撮およびその映像の提供・送信・保管等
  6. 各都道府県の条例で定める罪
    痴漢・盗撮・卑わいな言動等(迷惑防止条例・青少年健全育成条例違反)

刑法改正前の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」など旧法による有罪判決も対象に含まれます。

法律が求める4つの取り組みと、施行前の準備

法律が事業者に求める取り組みは大きく4つです。

分類   内容
① 安全確保措置 被害の早期把握のための面談・アンケート、相談体制の整備
② 犯罪事実確認 従事者の性犯罪前科の有無の確認(=DBS照会)
③ 防止措置 性暴力のおそれがあると判断された場合のこどもとの接触回避策
④ 情報管理措置 性犯罪前科等の情報の適正な管理

ただし、これらは施行後の運用ルールです。一方で、施行前から準備すべき事項も定められています。次章では、施行までに対応しておくべき準備事項を詳しく見ていきましょう。

いつまでに、何を準備すればいいのか

施行スケジュール

法律の施行日は令和8年(2026年)12月25日ですが、義務対象の施設にはすでに段階的な準備が求められています。
以下は、こども家庭庁が公開しているスケジュール図です。

施行前の対応:5つのステップ

施設内で取り組むべき準備は、責任者の選任、就業規則の見直し、相談体制の整備など多岐にわたります。ここでは、こども家庭庁が示す施行スケジュールや資料をもとに、優先的に着手したい5つの対応を紹介します。

1. 【急務~令和8年7月】GビズIDの取得と事業者情報登録(義務対象事業者のみ)

認可保育所や幼稚園などの「義務対象事業者」は、令和8年4月末頃までに国が発行する「GビズID」を取得し、4〜7月の指定期間中に事業者情報をシステムに登録(まとめ登録)する必要があります。すでに登録期間に入っていますので、まだ取得していない場合は デジタル庁のサイトからIDを取得し、登録を進めましょう。

2. 【随時・早めに】採用関係書類の整備

今後の採用活動に備え、募集要項や採用条件に「性犯罪歴がないこと」を明示し、採用時に誓約書等で確認する仕組みを整えましょう。こども家庭庁がひな型を公開しているので、まずは自施設の書類に反映させていくのがスムーズです。

参考: こども家庭庁┃
誓約書・内定通知書参考例(Word/41KB)
募集要項・求人票参考例(Word/48KB)

  1. 【施行前に】報告・対応ルールの策定と周知
    万が一、性暴力事案の疑いが生じた場合に、職員がどのように報告し、施設がどう対応するかのルールを定め、職員・保護者・こどもに周知しなければなりません。こども家庭庁が、すべての対象事業者に必要な「報告ルール」と「対応ルール」のひな型を公開しています。なお、民間施設等の「認定対象事業者」は、これらに加えて「児童対象性暴力等対処規程」の作成も必要となります。

参考:こども家庭庁┃
報告ルールひな型(Word/683KB)
対応ルールひな型(Word/297KB)
児童対象性暴力等対処規程(ひな型)(Word/70KB)※認定対象事業者のみ

4.【施行前に】情報管理規程の整備

犯罪事実確認で得た重大な情報をどう管理するか(閲覧者の範囲・記録の保存方法等)について、規程を整備する必要があります。ひな型が3種類(責任者1名・記録保存なし、記録保存なし、記録保存あり)公開されていますので、施設の状況に合ったものを選択してください

参照:こども家庭庁┃各種ひな型・参考例 リンク集

5. 【施行前に】従事者向け研修の実施

こどもに接する業務に従事する「すべての職員」に研修を受講させなければなりません。こども家庭庁が研修動画・教材を無料で公開していますので、まずはそちらを活用し、現職の職員の研修を完了させましょう。

参考:こども家庭庁┃従事者向け研修教材

「こまもろうマーク」で保護者へのアピールにも

対応を進めた施設には、こども家庭庁が定める事業者マーク(通称「こまもろうマーク」)の表示が認められます。フクロウをモチーフにした「こどもをまもろう、みんなでまもろう」という思いが込められたマークで、2種類があります。

認定事業者マーク

国の認定を受けた民間教育保育等事業者が表示できるマーク

法定事業者マーク

認可保育所・幼稚園など義務対象事業者が表示できるマーク

施設の玄関やウェブサイト、保護者向け資料にこのマークを掲示することで、「きちんと対応している施設」であることを保護者に一目で伝えられます。こどもの安全を守る取り組みが、施設への信頼につながる仕組みです。

参考:こども家庭庁┃事業者マーク

よくある疑問 Q&A

こども家庭庁が公開しているQ&Aを参考に、保育・教育施設からよく寄せられる疑問をまとめました。詳細はこども家庭庁の公式Q&Aもあわせてご確認ください。

Q. 既存の職員も犯罪事実確認の対象になりますか?

はい。新規採用者だけでなく、施行・認定時点で在職している既存の職員も対象です。義務対象事業者は施行日から「3年以内」、認定事業者は認定等の日から「1年以内」に全員の確認を完了させる必要があります。なお、手続きが集中しないよう、一斉ではなく指定された期間に順次申請を進めていくことになります。

Q. 認定を受けていない民間教育保育等事業者(無認可施設等)はどうなりますか?

認定対象事業者は申請によって認定を受けることで制度の対象となります。認定を受けない場合、DBSの照会手続きは利用できませんが、「安全確保措置」として採用時の誓約書確認や研修実施など自施設でできる取り組みが推奨されます。なお、申請して認定を受ければ「認定事業者マーク(こまもろうマーク)」を表示できるようになり、保護者への安心感につながる有効なアピールになります。

Q.この法律に違反すると、どのような罰則がありますか?

違反した事業者や職員には、厳しい「行政処分」と「刑事罰」が科されます。 犯罪事実確認を怠るなどした場合、義務対象事業者は企業名などが「公表」され、認定事業者は「認定取消し(2年間再認定不可)」となります。さらに、犯罪履歴情報を不正な目的で提供したり、漏えいや管理違反などをしたりすると、内容に応じて最大で「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科されます。違反した本人だけでなく法人(施設)にも罰金が科される「両罰規定」もある厳格な仕組みです。

まとめ

こども性暴力防止法では、施行前から準備しておくべき事項が数多くあります。 施行日からすぐに新たなルールが適用されるため、事前の準備を怠ると、施行と同時に法令違反となってしまう可能性があります。そのため、こども家庭庁は豊富なひな型・研修教材・Q&Aを無料公開していますので、まずは公式の情報を活用しながら、一つひとつ対応を進めていきましょう。

コドモンのオンライン研修サービス「コドモンカレッジ」にて、こども家庭庁が公開している研修教材動画(全32本)を掲載しています。これらの教材は、こども家庭庁のYouTubeチャンネルでも公開されていますが、「コドモンカレッジ」にてご視聴いただくことで、事業者は職員の受講状況を一元管理でき、従事者は受講すべき研修の確認や受講漏れを防止できますので、ご活用ください。

コドモンカレッジ こども性暴力防止法 研修教材動画はこちら
https://webinar.codmon.com/feature/99

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※本記事の情報は2026年6月時点の公開情報をもとにしています。法令・ガイドラインの更新に伴い内容が変わる場合があります。最新情報は必ずこども家庭庁の公式サイトでご確認ください。

参考資料一覧

内容 発行元 URL
こども性暴力防止法(制度概要・法令・Q&A) こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou
条文 e-GOV 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000069
従事者向け研修教材 こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/jujisya
各種ひな型・参考例 こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/hinagata
事業者情報の一括登録(義務対象のみ) こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/matometouroku
こども性暴力防止法施行ガイドライン こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/80127231-8582-476e-a6e7-9347e725ed96/3414a8af/20260210_policies_child-safety_efforts_koseibouhou_42.pdf

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