お問い合わせ

令和8年度 処遇改善加算の変更点|児発・放デイ向け 加算区分・要件をわかりやすく解説

政策解説 補助金・交付金児童発達支援・放課後等デイサービス

令和8年6月 処遇改善加算の改定ポイント

  • 処遇改善の配分対象が障害福祉従事者全般に拡大。事務職員・看護師・PT・OT・ST等も新たに対象となり、配分計画の見直しが必要です
  • 加算区分がこれまでの4区分から6区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)に増え、上位区分「ロ」が新設されました
  • これまで対象外だった計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援が新たに対象化され、一律5.1%の加算が新設されました

「改定のたびに制度が変わって、ついていくのが大変……」と感じている先生方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、児発・放デイを運営する経営者・本部管理者の方や加算の算定を行う方が知っておくべき変更点を、わかりやすく整理してお伝えします。

今回の改定の全体像

なぜ今「臨時改定」なのか

処遇改善加算をはじめとする障害福祉サービスの報酬改定は、通常3年に1度のサイクルで行われます。ところが今回は、令和9年度を待たずに令和8年6月1日から「臨時(期中)改定」として実施されることになりました。

背景にあるのは、障害福祉分野での深刻な人手不足と賃上げの必要性です。政府は介護・医療・障害福祉の各分野で同時期に報酬改定を行っており、今回の改定は職員の処遇改善・賃上げを主な目的としています

なお、令和8年4月・5月は従前のルールが適用され、6月1日以降から新しいルールに切り替わります

これらの措置により、最大で月+1.9万円の賃上げを実現できます。

対象職種の拡大で何が変わるか

新たに対象となった職種

令和8年6月以降、処遇改善加算の配分対象が「福祉・介護職員中心」から「障害福祉従事者全般」へと大きく広がります。

これまでは主に指導員や保育士が対象でしたが、今後は以下の職種も対象です。

  • 児童発達支援管理責任者(児発管)
  • 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)
  • 心理指導担当職員
  • 看護師・准看護師
  • 相談支援専門員
  • 事務職員
  • 運転手・調理員 など

これまで「現場職員だけが加算の対象」という認識をお持ちだった方も、今後は事務や運転担当の方も含めて配分計画を立てることができます。

児発・放デイにおける配分の考え方

対象が広がった分、「誰にどう配分するか」という計画の見直しが必要になります。職種間の配分バランスを調整するうえでは、以下のような視点が参考になります。

  • 支援の質に直結する指導員・保育士・療法士・心理職への配分を軸に据えつつ、運営を支える事務・調理・運転担当にも一定の配分を検討する
  • 月給(基本給・毎月手当)への配分比率を高めることで、要件ウ(月額賃金改善要件)も同時に満たしやすくなる

法人役員への配分可否

法人の代表者は配分の対象外です。一方、使用人兼務役員(実態として現場の労務に従事している役員)については、その労務部分に対して配分を行うことができます。ただし運用の判断は慎重に行い、不明な点は自治体に確認することをおすすめします。

加算区分はどう変わったか

4区分から6区分へ

令和8年6月からの最大の変化のひとつが、加算区分が4つから6つに増えたことです。

「ロ」とは何か

「ロ」は、生産性向上や協働化に取り組む事業者に向けた上乗せ区分です。後述する「令和8年度特例要件」を満たすことで算定できます。

加算率で見ると、児発の場合は加算Ⅰイが15.2%、加算Ⅰロが15.8%、放デイは加算Ⅰイが15.5%、加算Ⅰロが16.1%となっています。

加算を取るために何が必要か(要件の全体像)

処遇改善加算を算定するには、「キャリアパス要件」「職場環境等要件」「月額賃金改善要件」の3つを満たす必要があります。

各要件の内容

キャリアパス要件(Ⅰ- Ⅴ)

職員の「育て方・評価の仕組み」に関する要件です。5つの柱があります。

  • 要件Ⅰ:職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備し、就業規則等で職員に周知すること
  • 要件Ⅱ:資質向上の目標・計画を策定し、研修の実施・能力評価または資格取得支援を行うこと
  • 要件Ⅲ:経験・資格・評価等に応じた昇給の仕組みを就業規則等の書面で整備すること
  • 要件Ⅳ:経験・技能のある職員に年収(改善後賃金年額)460万円以上を1人以上配分すること
  • 要件Ⅴ:職員の配置状況(施設の実態充足)

要件Ⅰ- Ⅳについては、後述の特例要件を満たすことで令和8年度中の「誓約」により算定が可能です。なお、要件Ⅴのみは誓約による代替ができません。

加算ごとに必要なキャリアパス要件

職場環境等要件

職員が働きやすい環境づくりに関する要件で、以下の6区分(全28項目)から構成されています。

区分 主な内容
1.入職促進に向けた取組 4項目
採用の仕組みづくり、職業体験の受入れ等
2.資質向上・キャリアアップ支援 4項目
研修受講支援、キャリア面談の機会確保等
3.両立支援・多様な働き方の推進 5項目
休業制度の充実、短時間正規職員制度の導入等
4.心身の健康管理 4項目
相談体制の整備、健康診断・ストレスチェック等
5.生産性向上のための業務改善 7項目
ICTツール導入、業務手順書の整備等
6.やりがい・働きがいの醸成 4項目
職場内コミュニケーション促進、好事例の共有等

加算ごとに必要な実施数

  • 加算Ⅰ・Ⅱを取得する場合:区分ごとにそれぞれ2つ以上実施(生産性向上(5区分)は3項目以上、⑱「現場の課題の見える化」は必須。)したうえで、全体から14項目以上※
  • 加算Ⅲ・Ⅳを取得する場合:区分ごとにそれぞれ1つ以上実施(生産性向上(5区分)は2項目以上)したうえで、全体から8項目以上

※「全体から14項目以上」の要件は、キャリアパス要件Ⅳでも代替可。

月額賃金改善要件

加算Ⅳの加算額の2分の1以上を、基本給または毎月支払う手当(月給)として配分することが求められます。一時金・賞与のみへの配分では要件を満たしません。

全加算区分(Ⅳ・Ⅲ・Ⅱ・Ⅰ)に共通して必要な要件です。

加算ごとに必要な要件一覧

加算区分ごとに必要な要件を整理すると、以下のようになります。上の区分ほど要件が積み上がる構造です。

⚠️現在加算Ⅰを取得している事業所が自動的にⅠロへ移行するわけではありません。特例要件を新たに満たし、届出を行う必要があります。

加算「ロ」を取るための令和8年度特例要件とは?

上位区分の「加算Ⅰロ」「加算Ⅱロ」を算定するには、「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。
条件は以下のア(またはイ)かつウを満たすことです。

要件ア:生産性向上の取組を5項目以上実施する

28ある職場環境等要件の項目のうち、生産性向上に関する取組を5項目以上実施することが求められます。そのなかでも⑱「現場の課題の見える化」と㉑「業務支援ソフト・情報端末の導入」は必須です。

ICTツールを活用して業務の省力化・見える化を進めることが、上位区分取得の鍵になります。

要件イ:社会福祉連携推進法人への加入

社会福祉連携推進法人に所属していること。ただし、多くの民間事業所にはこの要件は馴染まないため、実質的には「要件ア」での対応が中心になるでしょう。

要件ウ:月額賃金への配分

加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を、基本給または毎月支払う手当(月給)で配分することが必要です。一時金・賞与での配分だけでは要件を満たしません。

⚠️上記については誓約で算定を開始できますが、令和9年3月末までに未対応が確認された場合は加算額の一部または全部を返還しなければなりません。詳しくは「誓約・実績報告・返還リスクの注意点」をご確認ください。

届出スケジュールと提出手順

届出の締切

6月以降から初めて算定する場合、または新規対象サービスのみの場合の処遇改善計画書提出期限は令和8年6月15日(月)までです。
⚠️7月以降に算定開始する場合は通常ルールに戻り、「算定する月の前々月末日」が締切です。

届出にあたっての注意点

  • 処遇改善計画書の様式は令和8年4月7日改訂版を使用してください。旧様式では受理されません
  • 加算Ⅰロ・Ⅱロへの区分変更を行う場合は、体制届(算定に係る体制等に関する届出)の再提出も必要です
  • 提出先は、各事業所を管轄する指定権者(都道府県・政令市・中核市)です。同一法人内に複数の事業所がある場合も、各事業所の指定権者ごとに提出が必要です
  • 自治体によって手続きの細部が異なる場合があります。必ず各指定権者の案内を直接ご確認ください

誓約・実績報告・返還リスクの注意点

特例要件(加算Ⅰロ・Ⅱロ)の誓約による算定を検討している方は、以下の点をよく確認してから届出を行いましょう。

実績報告の期限

誓約により算定を開始した場合も、年度終了後に実績報告書を提出する必要があります。提出期限は最終加算支払月の翌々月末日までです。

返還が求められるケース

実績報告の結果、以下のいずれかが確認された場合、加算額の一部または全部の返還が求められます。

  • 誓約した取組(生産性向上5項目以上の実施など)が令和9年3月末までに行われていなかった場合
  • 賃金改善額が加算収入額を下回っていた(加算で受け取った額より実際の賃上げが少なかった)場合

覚えておきたい「2つの罠」

  1. 誓約だけして実施しなければ返還になる:「とりあえず誓約して後で考えよう」は危険です。実施できる見通しを立ててから届出を行いましょう。
  2. 要件「ウ」(月給配分要件)は現実的な判断が必要:月給ベースへの配分が難しい給与体系の施設は、まず体制を整えてから届出することをおすすめします。

まとめ

令和8年6月施行の処遇改善加算改定のポイントを整理すると、以下の2点がポイントです。

  • 対象職種が広がった:これまで対象外だった事務・運転・看護師等も配分対象になりました。配分計画の見直しが必要です。
  • 上位区分「ロ」が新設された:ICT導入など生産性向上に取り組む事業所は加算率がアップします。ただし誓約による算定には返還リスクがあるため、実施できる見通しを確認してから届出を行いましょう。

なお、上位区分取得の鍵となるICT導入・活用については、別記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
療育施設の毎日を支えるICT活用

コドモンの機能・導入についてのご相談は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
ご相談受付フォーム

参考:
令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について
令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について

政策解説の記事

記事一覧をみる

NEW

新着記事

PICK UP

人気記事