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放課後児童支援員の基礎資格要件が変わる 令和9年度改正を解説
放課後児童支援員の基礎資格要件が、令和9年度から大きく見直されます。「大学・大学院卒業者は専攻を問わず1年の従事経験で取得可能に」「大学3年生から研修受講が可能に」など、人手不足が深刻な学童業界にとって採用・育成の選択肢が広がる改正です。本記事では、現行の基礎資格要件から改正の具体的な内容、認定資格研修の科目・体系、キャリアアップ研修の新しい仕組みまでわかりやすく解説します。
放課後児童支援員の資格とは? 現行の基礎資格要件を整理
放課後児童支援員は、放課後児童クラブ(学童保育)で働く専門職として2015年に創設された認定資格制度です。各放課後児童クラブには、支援の単位ごとに2人以上の放課後児童支援員等を配置することが求められています。なお、この基準は国の省令上は参酌基準(参考基準)であり、各市区町村が条例で定める仕組みとなっています。
資格取得には、「①基礎資格を持っていること」と「②都道府県が実施する認定資格研修を修了していること」の両方が必要です。
現行の基礎資格要件は以下のとおりです(実務経験不要と必要の2種類に分かれます)。
実務経験が不要な方
| 資格・学歴 | 内容 |
|---|---|
| 保育士 | 保育士資格を持っている方 |
| 社会福祉士 | 社会福祉士資格を持っている方 |
| 教員免許 | 幼稚園・小学校・中学校・高校などの教員免許を持っている方 |
| 大学・大学院卒 | 社会福祉学・心理学・教育学・社会学・芸術学・体育学を専修した方 |
実務経験が必要な方
- 高校卒業以上で、児童福祉事業での実務経験が2年以上ある方
- 高校卒業以上で、放課後児童クラブに類似する事業に2年以上従事し、市区町村長が認めた方
- 学歴を問わず、放課後児童クラブで5年以上従事し、市区町村長が認めた方
「子どもが好き」という理由で学童の仕事に就きたい人材がいても、大学で学んだ専攻が上記6分野(社会福祉学・心理学・教育学・社会学・芸術学・体育学)に当てはまらなければ、実務経験なしでは研修受講すらできないのが現行の仕組みです。この入口の狭さが、人材確保の壁のひとつになってきました。こうした課題を踏まえ、令和9年度から制度が変わります。
令和9年度から変わる3つのポイント
令和8年2月に開催された「第6回 児童厚生施設及び放課後児童クラブに関する専門委員会」において、以下3点の対応策が示されました。いずれも令和9年度からの運用開始が目指されています。
① 大学・大学院卒業+1年の従事経験で取得可能に
現行の仕組みでは、指定の6分野以外の学部を卒業した方は、2年以上の実務経験を積まなければ研修を受講できませんでした。今回の改正により、大学・大学院卒業者は専攻を問わず「1年間の従事経験」があれば受講資格を得られるようになり、大幅に期間が短縮されます。
※従事経験の対象は「児童福祉事業」と定められています。ただし、具体的にどの事業や業務が該当するかの詳細については、今後の要綱等で明らかになる予定です。
② 大学3年生から認定資格研修の受講が可能に
現在は「最終学年(4年生)在籍中」から研修受講が基礎資格取得見込み扱いで認められています。これが、大学に2年以上在学し62単位以上修得した大学3年生から受講可能となるよう拡大されます。
これにより、卒業と同時に放課後児童支援員として施設に配置できるルートが描きやすくなります。3年生のうちにアルバイトとして現場に慣れてもらいながら研修を修了→4年生で就職活動→卒業と同時に資格取得という育成の流れが、より自然に組めるようになります。
就活前の学生に「放課後児童クラブへの進路」を選択肢として意識してもらいやすくなる点でも、採用活動への好影響が期待されます。
③ こども家庭ソーシャルワーカーも基礎資格に追加
令和6年4月に導入された「こども家庭ソーシャルワーカー」も、放課後児童支援員の基礎資格として新たに追加されます。こども家庭ソーシャルワーカーは、子どもや家庭が抱える問題に専門的な知識をもって対応するための資格です。福祉の現場で培った専門知識やスキルを活かして、放課後児童クラブにおいても活躍できる道が広がります。
要件緩和の内容を踏まえると、施設として今から採用・育成の計画を見直す余地があります。次は、資格取得に必要な「認定資格研修」の中身を確認しておきましょう。
認定資格研修の科目・内容(6分野16科目)
カリキュラムの全体像
認定資格研修は、こども家庭庁のガイドラインにもとづき各都道府県が実施しています。カリキュラムは6分野16科目(1科目90分・合計24時間)で構成されており、受講料は原則無料です(教材費・交通費などの実費は自己負担)。
| 分野 | 主な科目内容 |
|---|---|
| ①放課後児童クラブの理解 | 事業の目的・制度/一般原則と権利擁護/子ども家庭福祉施策 |
| ②子どもを理解するための基礎知識 | 子どもの発達理解/児童期(6〜12歳)の生活と発達/障がいのある子どもの理解 |
| ③子どもの育成支援 | 育成支援の実際/遊びの理解と支援/障がいのある子どもへの支援 |
| ④保護者・学校・地域との連携 | 保護者との連携・相談支援/学校・地域との連携 |
| ⑤安全・安心への対応 | 生活面における対応/安全対策・緊急時対応 |
| ⑥支援員に求められる役割 | 仕事内容の理解/施設の運営管理と法令遵守 |
保有資格によって一部が免除されます(保育士は4科目、教員免許は2科目、社会福祉士は2科目)。また、今回の運営指針改正に合わせ、こども基本法の理念やこどもの権利に関する内容が各科目の中に充実していく予定です。
正式にオンデマンド受講が可能に
これまで集合研修が原則でしたが、今回の改正により一部科目についてオンデマンド配信による受講が正式に可能となります。オンデマンド配信を活用する場合は、受講状況の管理や確認テストの実施など、質を担保する仕組みも合わせて求められています。
「日程が合わない」「施設を離れられない」という理由でスタッフの研修受講が進みにくかった施設にとっても、取り組みやすくなるでしょう。勤務先がある都道府県の実施形式は、各都道府県の担当窓口で確認できます。
資格取得後の成長を支える仕組みも、今回の改正で大きく変わります。次に確認していきましょう。
キャリアアップ研修の体系化と処遇改善
「放課後児童支援員」から「10年目以上」の4段階へ
放課後児童支援員のキャリアアップ研修はこれまで「5年目」「10年目」を目安に受講推奨されてきました。これが令和8年度中に見直され、「放課後児童支援員」「3年以上」「5年以上」「10年以上(事業所長等の立場にある方など)」の4段階をベースとした明確な研修体系が整備されます。
早い段階でキャリアの見通しが持てることは、スタッフのモチベーションにも直結します。「この施設で長く働きたい」と思えるような環境をつくるために、わかりやすい研修体系は欠かせない要素のひとつです。
キャリアアップ研修を受けるほど処遇が改善される仕組みに
特に注目したいのが、キャリアアップ研修が「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」と直接連動している点です。令和8年度予算案では、これまで5年目・10年目が対象だった処遇改善事業に、3年目が新たに追加されます。
つまり、3年目に研修を受ければ処遇改善(198,000円分 ※1人当たり年額)の対象になる、という仕組みが整います。施設として計画的な研修受講を後押しすることが、スタッフの定着と待遇向上を同時に進める手段になります。
研修はオンデマンドやオンライン会議システムの活用も念頭に設計される予定なので、受講のハードルも下がっていきます。
まとめ
令和9年度の改正によって、放課後児童支援員をめぐる制度は大きく動きます。ポイントを整理すると以下のとおりです。
- 大学・大学院卒業+1年の従事経験で専攻不問の受講資格が得られるようになる
- 大学3年生から認定資格研修の受講が可能になる(2年以上在学・62単位以上修得が条件)
- こども家庭ソーシャルワーカーが基礎資格に追加される
- 認定資格研修の一部がオンデマンドで受講可能になる
- キャリアアップ研修が4段階に体系化され、処遇改善事業とも連動する
処遇改善に向けた研修の体制づくりと合わせて、現場の負担を減らすには日々の業務省力化が不可欠です。国が推進するICT導入補助金等の対象にもなっているコドモンの機能は要件を直接カバーしています。資格・研修の体制づくりと合わせて、日々の業務省力化にもぜひお役立てください。
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参考:こども家庭庁|第6回児童厚生施設及び放課後児童クラブに関する専門委員会 資料1「放課後児童クラブの諸課題への対応について」(令和8年2月27日)
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