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育休中でも学童利用はできるのかー 令和8年6月の国の見解と自治体対応の変化をまとめました
2026年(令和8年)6月30日、こども家庭庁の黄川田こども政策担当大臣が閣議後会見で、「保護者が育休中でも、子どもは学童の利用対象に含まれる」との国の見解を明確に示しました。
保護者からの、「どうして育休中に学童をやめなくてはいけないのか」「前の学童は育休中でも利用できたのに」といった育休中の学童利用に関する質問や相談は、施設長・職員のみなさまにとって、これまで答えに迷う場面もあったのではないでしょうか。育休中の利用可否は自治体によって対応が分かれており、下の子の育休取得にともない、きょうだい(兄・姉)の在籍を継続しない運用としている自治体もあります。
この記事では、育休中の学童利用について、制度の前提から、自治体ごとの対応の実態、国の見解、自治体の動きまでを整理してお伝えします。
学童の利用要件はどう決まっているのか
学童保育(放課後児童クラブ)は、児童福祉法にもとづく「放課後児童健全育成事業」として実施されています。法律上の対象は、「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」とされています。
ただし、この「労働等」にどこまでを含めるか、受け入れ基準をどう運用するかといった具体的な判断は、実施主体である市区町村の裁量に委ねられている部分が大きいのが実情です。
自治体によって対応が割れてきた実態
育休中の利用可否をめぐる論点は、まさにこの「労働等」の解釈にありました。育休が「労働等」に含まれるかどうかについて、これまで明文の規定はなく、判断は各自治体に委ねられてきました。その結果として、自治体ごとに対応の差が生じていました。
その実態を示すのが、読売新聞が2026年6月28日に報道した調査です。東京23区、道府県庁所在地・政令指定都市、人口20万人規模の中核市の計109区市を対象としたもので、結果は以下のとおりでした。
- 育休中の利用を認めない自治体:69区市
- うち61区市(調査対象109区市の56%)は、下の子の育休取得にともない、すでに通っているきょうだい(兄・姉)の退所を求める運用
- 柔軟に対応すると回答した自治体:8区市
また、過去3年間の退所児童数を開示した自治体は9区市のみで、その合計は655人(松山市214人、宇都宮市159人、東京都文京区59人など)。残る52区市の大半は集計自体を行っていないため、実際の退所児童数はさらに多い可能性があります。
背景には、学童の待機児童が全国で年間約1万6,000人にのぼるという、受け入れ側の事情もあります。明文規定がない中で、各自治体がそれぞれの状況に応じて判断してきた実態が、数字からわかります。
2026年6月、「労働等」には育休中も含まれると国が見解
こうした実態が報道され話題となる中、2026年6月30日の閣議後会見で、記者から育休中の学童利用について質問を受けた黄川田大臣は、国としての見解を明確に示しました。回答の要点は、次の3点に整理できます。
① 「労働等」には育休中も含まれる
学童は、児童福祉法上「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」を対象とする事業であり、この「労働等」には保護者が育児休業中の場合も含まれる、との解釈が示されました。
② 育休を理由に一律に退所を求めるのではなく、個別に判断を
実施主体である市区町村においては、育休中であることを理由に一律に退所を求めるのではなく、保護者の負担軽減や子どもの継続利用の観点から、保護者や子どもの状況を踏まえて適切に判断することが大切である、との考えが示されました。
③ 全国の自治体に事務連絡を発出
こども家庭庁はこれまでも、自治体から個別に問い合わせがあった際にはこうした考えを説明してきましたが、会見前日の2026年6月29日付で、改めて全国の自治体に事務連絡を発出し、広く周知徹底を図ったことが説明されました。
ここでのポイントは、法律の条文が変わったのではなく、「労働等」の対象範囲についての解釈を国が明確に示した、という点です。制度の建て付け上、受け入れの運用判断が市区町村に委ねられていること自体は変わりません。そのうえで、保護者が育休中でも子どもは対象に含まれることが、会見と事務連絡を通じて全国に示された形になります。
(出典:黄川田大臣記者会見〈令和8年6月30日〉、政府広報オンラインの会見ページ(動画・反訳)をもとに要点を要約)
見解を受けて動き始めた自治体
国の見解を受けて、対応の見直しを表明する自治体も出はじめています。
- 新潟市:中原八一市長が2026年6月30日の会見で、育休世帯の学童利用を今後認める方向で検討する考えを表明しました。実施時期は未定で、現時点では「検討する考えを示した」段階です。(出典:新潟日報(2026年7月1日))
- 東京都江戸川区:今年度中に育休世帯の受け入れを開始する予定です。区は育休を未来を育む「育業」と位置づけ、受け入れ環境を整えていく方針です。(出典:読売新聞オンライン(2026年6月28日))
一方で、事務連絡を受けてからの対応には、自治体ごとに差が出る可能性があります。すべての自治体で一斉に運用が変わるわけではない点には、注意が必要です。
まとめ
育休中の学童利用は、明文規定がなく自治体の裁量に委ねられてきた状態から、国の見解を踏まえた対応へと移行しはじめています。ただし、実際の運用がいつ・どのように変わるかは自治体によって異なります。
保護者から質問や相談を受けた際は、国の見解と自治体判断の関係を踏まえて説明できるようにしておくと安心です。なお、最新の運用は管轄自治体にてご確認ください。
参考資料・出典
- こども家庭庁「放課後児童クラブ運営指針解説書」
- 黄川田大臣記者会見(令和8年6月30日、政府広報オンライン配信音声の反訳)
- こども家庭庁事務連絡|放課後児童健全育成事業における保護者が育児休業期間中の取扱いについて(令和8年6月29日)
- 読売新聞オンライン(2026年6月28日)109区市を対象とした育休中の学童利用に関する調査報道
- 読売新聞オンライン「『下の子』の育休で学童利用できず、『乳児抱え余裕・体力ない』『3人目考えられない』…運用見直す動きも」(2026年6月28日)
- 新潟日報「新潟市、育児休業中の学童保育利用を認める方針へ 中原八一市長が検討する考え示す」(2026年7月1日)
※本記事は2026年7月時点の情報にもとづいています。最新の運用については、各自治体の案内をご確認ください。
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