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ICT活用推進責任者とは?園長が知っておきたい役割と選び方

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令和8年度から始まった保育ICT推進加算(年間最大30万円)の算定要件のひとつに、「ICT活用推進責任者の配置」があります。「誰を責任者にすればよいのか」「資格や役職が必要なのか」と迷う施設も多いのではないでしょうか。

この記事では、こども家庭庁の公式資料や、保育ICT活用の専門家の見解をもとに、ICT活用推進責任者の定義・選び方・体制づくりのポイントを整理します。

ICT活用推進責任者とは

まずは、制度上どのような役割として位置づけられているのかを確認しましょう。

加算要件上の定義

こども家庭庁は、ICT活用推進責任者について「ICTの導入・活用について施設内で中心となって取り組み、他の職員の相談に対応すること」と定めています。
システムの専門管理や技術トラブルの解決を担う担当者ではありません。主な役割は、施設内でICT活用を進める中心となって職員の相談を受け止め、園内で判断すべきことは園長や法人本部等と確認し、技術的な内容は必要に応じてシステム事業者へ相談することです。

ICT活用推進責任者の選任条件

ICTの専任者や役職者である必要はありません。こども家庭庁のFAQ集では、責任者の専任条件について次のように示されています。

  • 専任である必要はなく、現在の職務との兼任が可能
  • 特別な資格や高度なITスキルは不要
  • 役職の指定はなく、保育士・副主任保育士・事務担当者・副園長など既存の職員の中から選べる
  • 小規模施設では、園長自身が兼任することも可能

資格・役職・専任のいずれも制度上の条件はありません。

責任者一人に任せきりにしないことが前提

加算要件の中では、責任者の役割についてさらに次のように注記されています。

「ICTの導入・活用は、組織全体での体制整備やコミュニケーションの充実等により実現されるものであることから、当該責任者一人だけではなく複数人でチームを組んで取り組むことを前提とすること

責任者を1名選任することが必要ですが、その責任者一人に全ての負担を集中させることは想定されていません。責任者を中心としたチームで取り組む体制をつくることが、加算取得の前提として明確に位置づけられています。

ICT活用推進責任者の役割

制度上の定義だけでは、実際にどんな役割なのかイメージしにくいかもしれません。
こども家庭庁は、責任者の具体的な活動イメージとして、保育施設でのICT活用実践をまとめた「保育ICTラボ事業」の事例集を参考資料として紹介しています。同事例集では、責任者(同事業では「ICTコア人材」と呼ぶ)の取り組みについて次のように解説しています。

まずは現場の困りごとを聞く

事例集では「まずは現場の困りごとを聞くところからスタートすることをおすすめします」とされています。日誌作成や登降園管理、保護者連絡など、職員が日常業務で感じている負担を把握することで、どの業務からICT化に取り組むべきかが見えてきます。

ICTを活用した業務改善を推進する

ICT活用責任者は、単に「システムの操作が得意な人」や「ITの設定に詳しい人」ではありません。施設全体をどのように良くしていくかをデジタルの視点で考え、業務改善を進める役割だと説明しています。日々の業務の中で「もっとこうできないか」という課題を見つけ、職員と対話しながら改善を進めることが求められます。

マニュアル化と情報共有で属人化を防ぐ

「あの先生しか使い方がわからない」という状態は、異動や退職によってICT活用が止まる原因になります。責任者は、自分だけが使いこなすのではなく、職員間で知識やノウハウを共有し、マニュアル化を進める役割も期待されています。

コドモンでも保育ICTラボ事業の取り組みを実施・紹介しています。責任者の具体的な動き方や事例をぜひ参考としてお役立てください。
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ICT活用推進責任者として育みたい4つの視点

制度上、選任の基準は定められていません。では実際にどのような人が向いているのか、全国の保育施設でICT活用支援を行う、一般社団法人 保育ICT推進協会に聞きました。同協会は、ICT機器の知識やスキルより、次の4つの視点を持てる人が責任者として機能しやすいといいます。

① 社会情勢の視点

社会全体から見て、園に何が求められているかを客観的に捉える力です。ICTが保育分野でどのように位置づけられているか、制度動向を把握したうえで施設として対応の方向性を判断できることが求められます。

② 現場の視点

現場ならではの課題やニーズを見つける力です。「この手続きをもっと効率化できないか」「この作業は負担になっていないか」といった気づきを日常的に持っている職員は、責任者として機能しやすいといえます。

③ 推進体制の視点

自分一人で抱え込まず、周囲を巻き込んでチームで進める力です。責任者の役割は「自分が使いこなす」ことではなく、「職員全体に定着させる」ことにあります。そのため、相談しやすい雰囲気をつくったり、職員の声を集めたりできる人が適しています。

④ 法務・リスクの視点

個人情報やセキュリティ上のリスクに気づける基本的な感覚です。専門知識は不要ですが、「この運用で問題ないだろうか」と立ち止まって考えられる慎重さが望ましいとされています。

これら4つを最初から一人で完璧に備えている必要はありません。ただし、責任者本人またはチーム全体で、社会情勢・現場・推進体制・法務リスクの視点を補える体制をつくることが重要です。

ICT活用推進責任者を選任した後の体制づくり

責任者を置くだけでICT活用が定着するわけではありません。制度上も、責任者一人ではなく複数人で取り組むことが前提とされています。継続的な活用につなげるためには、施設全体で推進する体制づくりが重要です。
保育ICT推進協会は、次の三層で体制を整えることを推奨しています。

園長・運営者(方向性の提示)

「なぜICTを推進するのか」という目的とビジョンを示す

ICT活用の責任者(推進の設計)

どの業務からデジタル化するか、どうルールを作るかを設計する

全職員(現場での実践)

実際にツールを使い、現場の声をフィードバックして運用を改善する
この三層が同じ目的のもとで動くことが重要です。また、責任者を中心とした小規模なワーキンググループを設け、月1回程度の頻度で課題や進捗を確認し合う場を設けることも推奨されています。

まとめ

ICT活用推進責任者というと、専門的な知識やスキルが必要な役割に聞こえるかもしれません。しかし制度の設計上も、実践の知見からも、求められているのは「現場を改善しようとする意識」と「職員と一緒に進める姿勢」です。

まずは、今いる職員の中で業務改善に前向きな人に声をかけることから始めてみてください。

  • 加算要件として定められた役割は「ICT活用の中心となること」と「職員の相談対応」の2点
  • 専任・資格・役職の条件はなく、既存の職員から選任できる
  • 責任者一人に任せきりにせず、チームで取り組む体制が前提とされている
  • 選任の基準は技術スキルより、業務改善への意識と職員間の相談しやすさ

また、保育ICT推進加算の全体的な要件や申請の流れについては、関連記事「保育ICT推進加算や新たな減算が開始」や解説資料「保育ICT推進加算スタートガイド」もあわせてご参考ください。

参考資料:
こども家庭庁┃令和8年度公定価格・基準等の見直し事項
こども家庭庁┃公定価格全般FAQ(第30版)
こども家庭庁┃ 保育ICTラボ事例集
保育ICT推進協会Youtube┃保育ICT推進加算の「責任者」ってどんな人?何をすればいいの?役割と進め方をわかりやすく解説

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